新型コロナ の影響で、仕事も住まいも失った３１歳の男性がいます。若い世代の完全失業率が高くなっていて、男性は「僕以外にも沢山いることを知ってほしい」と訴えます。いま若い世代の暮らしに何が起きているんでしょうか。
「前の方と２ｍくらい間隔を空けてください」（スタッフ）
陽が沈み、一層冷え込む午後６時。冷たい雨が容赦なく体に打ちつけます。２３日、都内の公園には２００人以上が集まり、列を作っていました。
「お弁当どうぞ、お茶もどうぞ」（スタッフ）
生活が苦しい人に無料で配られる弁当や飲み物。こちらの支援団体は定期的に炊き出しや生活相談を行っていますが、今年に入ってからは目に見えて若い人の姿が増えているといいます。
「３０代、場合によっては２０代の人が、炊き出しをもらいに来ることが増えてきた。何が起きたんだと、いぶかしい感じがする」（ＴＥＮＯＨＡＳＩ 清野賢司代表理事）
完全失業率は去年１１月の時点で２．９％。２５歳から３４歳の人は失業率がさらに高く、男性は４．２％、女性は３．１％となっています。いま、若い世代の暮らしに何が起きているのか。１人の男性が取材を受けてくれました。
「雨の日は普段の倍以上疲れる」（達也さん・仮名）
神戸出身の達也さん（仮名）。現在３１歳です。この日の全財産は３０６３円。１時間以上歩いて、炊き出しにやってきました。
Ｑ．炊き出し自体は？
「今日が初めて。炊き出しは初めて」（達也さん・仮名）
達也さんの勤める会社は新宿・歌舞伎町などで複数の居酒屋を運営していました。しかし、再びの感染拡大で客は激減し、去年１２月、ついに倒産。達也さんが築いてきた暮らしも破壊されました。
「２か月間、給料も払ってもらっていないので、その間も貯金を崩しながら生活をしていた」（達也さん・仮名）
再就職先が見つからない、家賃や光熱費を払えない。頼れる身内がいない達也さんは公園で寝泊まりするようになりました。
「ちょうどここで、ベンチの所で。あのベンチの所で寝てました」（達也さん・仮名）
予想もしなかった路上での生活。炊き出しの情報も知らず、空腹は公園の水を飲んでしのぎました。真冬の公園はとにかく寒く、夜は眠れなかったといいます。
「絶望ですね。普通にコンビニから出てくる人がうらやましいと思ったり、“何で俺こんな思いしないといけないんだ”と思ったり、もう本当に死にたいと思ったこともあった」（達也さん・仮名）
友人が宿泊代を払ってくれたため、先週末からはホテルで暮らしていますが、厳しい状況は変わりません。この日の夕食は炊き出しでもらった弁当。支援物資がないと、日々の食事すら、ままならない状態です。
「うれしいですね、これは。アジフライとハムカツですね。３日ぶりですね、まともなものを食べるのは。乾パンとかばかりだったので」（達也さん・仮名）
空腹にも関わらず、達也さんは半分しか弁当を食べませんでした。大切に取っておいて、明日の食事にするためです。
「まさかこんなになるとは思っていなかったし、去年の今頃も思ってない。会社も無くなって、居場所も無くなったので、途方に暮れていました」（達也さん・仮名）
達也さんは２５日、自治体に支援を求め、無料でビジネスホテルに泊まれるようになりました。滞在できる期間は２５日から２週間です。
「まだ、どうなるか分からない。とりあえず仕事して普通の生活がしたいです。こういう状況の人が僕以外にもいることを知ってほしい」（達也さん・仮名）
（news23 2021年1月25日放送）
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24 янв 2021
