東京都知事選をめぐっては、選挙ポスターの掲示板の枠が大量に事実上販売されたり、一部の候補者が過激な政見放送を行ったりするなど混乱が相次ぎました。こうした問題に“規制”は必要なのか…。与党は「法改正を含めて対応策を検討する」などとしています。
■掲示板ジャックや過激な政見放送
小川彩佳キャスター:
「サーカスが町にやってきたのか?」「東京の選挙は狂気の世界へ」
海外のメディアもこのように呆れ気味に今回の都知事選を取り上げました。
藤森祥平キャスター:
今回の都知事選では、動物のイラストや犬や猫の写真、さらには「目、合いましたよね」と問いかける女性など、選挙とは無関係なポスターが掲示板に大量に貼られました。
「NHKから国民を守る党」が行った、“ポスタージャック”で、寄付をした人に対してポスターを貼る権利を事実上販売しました。
「目、合いましたよね」の女性のポスターにはQRコードが載っていて、読み込むと女性個人のSNSのアカウントが表示されます。“宣伝”として利用されていました。
そして、テレビの政見放送では、ある女性候補が「暑いね」と言ってシャツを脱ぎ「可愛いだけでなくセクシーでしょ」と政策を訴えることなく語りかけるようなシーンもありました。
さらに、スカートにジョーカー風の化粧をして机の上に座る男性候補者もいました。
このような選挙と無関係のポスターや過激な政見放送について、街の人がどう受け止めたのか聞きました。
大学生(21)
「あれですよね、エロい系とか子どもの写真とか動物みたいな。バリエーション豊かだなと思いました。公共のものを好き勝手使ってるように見える」
会社員(23)
「面白おかしいことやってる人の政見放送がSNSで流れてくる。それを見て名前と顔は覚えますが、気になって調べるまではいかない。自由なのでそこに対してふざけんなって怒りはない」
会社員(49)
「本当に政治のためにやっているのか。RU-vidrとして稼ぐための知名度アップのためにやっているのかわからない部分がある」
小川キャスター:
毎日の子どもの幼稚園への送り迎えの動線に選挙ポスターの掲示板があるので、子どもに見せたくないようなポスターが掲示されるかどうか戦々恐々としながら過ごした2週間でした。
英語通訳・翻訳者 キニマンス塚本ニキさん:
私が住んでいる地域は選挙期間中、掲示板の4分の3ぐらいが白紙状態でポスターが貼られていないまま、まっさらでした。56人分の枠を用意するために税金をかけて延長していたのにも関わらず、全くの無駄になってしまいました。
1万4000か所も掲示板が貼られているので相当大変な労力ですが、大人がやることではないと思います。選挙は民主主義のもとで行われる制度のはずですが、もはや健全で成熟したデモクラシーと言えるのかという疑問を抱きながら辟易としていました。
■収益目的も…規制か自由か
藤森キャスター:
こういった問題を考える上で公職選挙法について知っておかなくてはなりません。
ポスターの記載内容を直接制限する規定がありません。そして、政見放送について放送事業者はそのまま放送しなければならないと定められています。
このようなことに対して自民党など与党はこれまでに想定していない問題が起きているとして、“公職選挙法の改正を含めて対応策を検討する”などとしています。
規制が必要かどうか街の皆さんに聞きました。
大学生(20)
「表現の自由とか難しいところだと思うが、今回はちょっとやりすぎかなという印象。ある程度厳しくして引き締めていった方が良い」
大学生(21)
「興味を持たせるために面白くするのは、今の若者には必要だと思うが、さすがに度が過ぎているもの、R-18みたいなものは禁止するべき」
会社員(22)
「若い世代の政治に関する思いが変わったり関心を持つことに対してはプラスではあるのかなと思う。今の段階は規制する段階ではない」
選挙制度に詳しい専門家に聞きました。
早稲田大学 日野愛郎教授
「選挙は最終的に有権者が判断する場。本来であれば規制を加えるべきではない。一方で政治的主張か疑わしいものも散見されたので、どこまで許容するかが一つの論点」
小川キャスター:
選挙における自由とその規制とのバランスが非常に難しいところだと思います。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
公職選挙法は候補者が当選を目指すことを前提に設定されています。今回のようにビジネスや売ることは想定されていないので、趣旨に反することは間違いないです。
有権者や候補者の良識が大事だということは前提にありますが、それが通用しない場合は、選挙管理委員会のような組織の指導・勧告が必要になってきます。更には必要に応じて法改正もやむを得ないという状況になってきていると思います。相当厳格に選挙の自由を大事にしながらやっていくことが必要です。
小川キャスター:
規制をしていてもイタチごっこでどんどん同じような手法をやっていく方も増えていくのかなという気もします。
キニマンス塚本ニキさん:
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7 июл 2024