「西の熊本」と「東の千歳」で、建設が進む半導体工場。
その投資額の大きさから、「100年に1度」とも言われ、マチに変化が現われ始めています。
半導体の受託生産で世界最大手、台湾のTSMC。
その日本初の工場が、この日、熊本県菊陽町に開所しました。
スマートフォンや家電などに使われる半導体は、「産業のコメ」とも呼ばれ、地元では「100年に1度のビッグチャンス」と期待を集めています。
こちらは、電子機器の頭脳の役割を担う「ロジック半導体」の工場建設が進む北海道千歳市のラピダス。
熊本と同様、大きな経済効果が期待されています。
千歳市次世代半導体拠点推進部 澤田篤次長
「(熊本と千歳は)同じロジック半導体ということで、共通点は多いかなと思っています。当然、同じような(経済)効果を期待しているところではある」
ひと足早く巨大工場が姿を現した熊本の姿は、北海道の未来の姿と重なります。
TSMCの新工場では、年内に半導体の製造を開始、27年までに量産を始める計画です。
また、先端半導体を生産する第2工場の建設も発表され、投資総額は3兆円にのぼります。
その影響は、マチの景色を一変させています。
熊本県 大津町商工会 松永幸久会長(去年6月)
「これがバブルなのかなって」
新工場がある菊陽町の隣、大津町でも、マンションやアパートの建設ラッシュが起きています。
去年9月に公表された「基準地価」によりますと、商業地の上昇率では大津町が全国1位でした。
熊本県 大津町商工会 松永幸久会長(去年6月)
「5年間熊本を離れていた人が帰ってきたら、『これどこなの?』と言うくらい様変わりしている」
コロナ禍で疲弊した繁華街も工事関係者などで、活気が戻りつつあります。
さらに影響は、インバウンド観光客にも。
台湾のスターラックス航空とチャイナエアラインが、相次いで熊本便を就航。
今、台湾からの観光客で、熊本の観光地は、賑わっています。
一方、その熊本を追いかける千歳です。
千歳市民(26日)
「(夜は)閑散としているイメージがあるので、にぎやかになったらいい」
「人の流れとか物流の流れとか、いろいろと盛り上がってくるよう期待」
半導体工場の建設を進めるラピダス。
数千人規模の作業員が千歳を訪れるため、不動産も動き始めています。
リアルエステート溝 三溝邦雄代表取締役
「おかげさまで工事関係者がきて、(賃貸の)99パーセント埋まってますので」
昨年公表された「基準地価」では、千歳駅近くの住宅地で上昇率が全国1位になるなど、需要が高まっています。
住宅情報サービスのライフルホームズが、千歳市内の単身者向け賃貸物件の掲載件数を調べた資料によると、去年、ラピダスの「千歳進出の発表」や「着工」のタイミングで、掲載件数が大幅に減る=つまり、物件が足りなくなっていることがわかります。
リアルエステート溝 三溝邦雄代表取締役
「学生とか若い人が来たときに、どうしたらいいんだろうと、私のほうがかえって心配しちゃう」
市民にとっては古くからはなじみの千歳駅近くにある繁華街、閉まっている建物も多く、コロナ前よりも人通りは少ないと言います。
そんな中で、ラピダス建設の追い風に期待が高まります。
炭焼き七五三家~しめや~スタッフ
「企業の社長たちが来店して、1~2か月でガラッと客の流れは変わった気がする。同じ業種の人との会話では、工事が進むにつれ、現場の人たちが来て、店を使ってほしいとか、使ってくれてるとか情報交換とかもしている」
バブルのような熱狂が感じられる熊本。
しかし、急速な発展に翻弄される人も出てきました。
熊本県は、新工場南側の道路を広げる計画で、この買収計画に周辺の畜産農家の土地が含まれ、行き場がないというのです。
帆保畜産 斎藤俊昭社長
「いやいや嘘でしょ?というのが本音ですよね」
この牧場では、牛舎が2か所、飼料畑が3~4か所、計画に含まれていました。
帆保畜産 斎藤俊昭社長
「いろんな物が発展するのはいいことだし、協力したい気持ちはあるけど、そこで生活したり営農したりしてきた私たちの気持ちにもっと寄り添ってほしい」
一般的に半導体関連の工場は、洗浄などで大量の水を使います。
千歳市民の中には、その水について、不安を口にする人も。
千歳市民
「よくないような水の排出は賛成できないかも。一般の人にどれだけ影響が出るのか。(工場が)出来たらずっとそこでやるわけだから」
これまで何もなかった場所に、巨大工場をつくるために多くの人や物が動くわけですから、様々な懸念も出始めています。
そのひとつが「交通渋滞」です。
工事のピーク時には、1日最大900台の工事車両が行き交うと試算されています。
このため、通常、朝に最も多くなる資材の搬入を、1日全体で均等になるよう、集中するのを避けるようにしています。
さらに、懸念は、もうひとつ。
半導体製造には、汚れを洗浄するため大量の水が欠かせません。
その過程で出る廃水には、薬剤なども含まれます。
ラピダスは「最新鋭の浄化設備を設けて排水したい」と話し、国もインフラ整備への支援を表明しています。
また、敷地内の複数の井戸で、地下水の観測を行うとしています。
ラピダスは、来年にも試験製造を始め、2027年に量産を始める計画です。
2024年02月27日(火) 19時26分 更新
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10 сен 2024