ロシアによるウクライナ侵攻が始まって2月24日で2年となりました。宮城県と仙台市では、2月13日現在で合わせて32人の避難民を受け入れています。そのうちの一人、東北大学の留学生の女性が自らの夢を追いつつも、いまだ戦火のやまない母国への思いを語りました。
日本に来て1年半になるマルガリタさん
東北大学のウクライナ人留学生、ゴールディナ・マルガリタさん（20）です。2022年の秋に来日し、日本での生活は1年半になります。東北大学の留学生 マルガリタさん：
「これまで住んでいたウクライナとは大きく異なる国での生活に慣れるのは、とても難しいことでしたが、ルーティンを見つけられたので、かなり慣れてきました」現在は、工学部で他の学生たちとともに「建築学」を学んでいます。マルガリタさん：
「ウクライナでは、16歳で大学に入った時から建築を勉強しようと思っていた。子どもの頃から（組み立て玩具の）『レゴ』が好きだった」
マルガリタさんの故郷は世界遺産の街
マルガリタさんは、ウクライナ南部のオデーサ出身。「黒海の真珠」とも呼ばれる美しい街は世界遺産にも登録されています。マルガリタさん：
「オデーサオペラハウスは、ウクライナだけではなく全世界の建築の真珠のような場所です」しかし、2022年2月24日。ロシアによる軍事侵攻がはじまると戦火はマルガリタさんの暮らすオデーサにも及びました。マルガリタさん：
「私は戦争が本当に始まるとは思っていなかったので、一晩中、大学の宿題をしていました。そして、すべてが始まったとき、誰かが花火を打ち上げたと思った」いつ攻撃されるか分からない恐怖と隣り合わせの毎日。地下に避難を余儀なくされた日もありました。
マルガリタさんが感じる「無念」
マルガリタさんはこの軍事侵攻によって知人を亡くしました。なぜ、犠牲にならなければならないのか無念さをにじませます。マルガリタさん：
「戦争を支持する人たちや責任を負わない人たちに嫌な気持ちがあります。私の家族は戦争がはじまってすぐに友人を亡くしました」ウクライナで勉強を続けることが難しくなり、東北大学の支援を受けて来日したマルガリタさん。来日当初、故郷に残してきた家族への思いを大崎市で話していました。マルガリタさん（2022年12月）：
「この写真に写っているのは私の家族です。この戦争が私たちや多くの人の生き方を変えてしまいました」
マルガリタさんの仙台での生活は
1月、マルガリタさんは、仙台市内で開かれた豆まきのイベントに参加しました。マルガリタさん：
「とてもユニークで興味深い経験で、参加できて感謝しています」当初は日本の文化に戸惑うこともありましたが、去年は、「すずめ踊り」や「七夕」のイベントにも参加。日本食も大好きだと話します。東北大学 前田匡樹教授：
「この間、茶碗蒸しを作ったら大好きだし、女川で海鮮丼も食べておいしかったよね」マルガリタさん：
「つけ麺も（好き）」
将来の夢は建築家
将来は、建築家という夢を持つマルガリタさん。この日は、工学部の実験場で建物の耐震強度を測る実験に取り組んでいました。マルガリタさん：
「実験は大好きです。（将来は）人が住む家だけではなく病院や学校などの建物も造ってみたいと思います」未だ絶えることなのない故郷の戦火に不安を抱きながらも、異国の地で前を見据えるマルガリタさん。マルガリタさん：
「若者はその国の未来です。それはウクライナだけではなくどこの国でもそうだと思う」あれから間もなく2年、一刻も早い収束を願っています。東北大学の留学生 マルガリタさん：
「早く戦争が終わってほしいと思います。なぜなら毎日人が亡くなっているし、命よりも大切なものはありません。しかし、それが非常に難しいことも分かっています」マルガリタさんは、「軍事侵攻が終わったとしても、人々が受けた恐怖はトラウマとなって残りそこから立ち直るのは信じられないほど難しいと思う」と話していました。マルガリタさんは、自分で計算をして仮説を立てそれを確認することができる工学の実験が好きでこれからもいろんな研究をしていきたいということです。東北大学では、マルガリタさんを含めて現在、3人の研究生や留学生を受け入れていて、今後もサポートしていくということです。
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25 фев 2024
