2019年、中国・香港で巻き起こった熱烈な抗議デモ。その様子を当初から取材していた記者がおよそ2年ぶりに現地を歩くと、そこには一変した香港の姿があった。2020年6月には香港国家安全維持法が施行され、カメラを持って取材していると警官に囲まれる場面も。急速に”中国化”する香港のいまを取材した。
10月1日、中国の建国記念日「国慶節」の日の香港。
森岡紀人 記者
「いま民主派団体のデモ行進が始まりました。政治犯の釈放や普通選挙の実施を求めています」
国慶節恒例のデモ行進だが、参加者は4人だけ。香港では現在、5人以上の集まりは禁止されている。一方、警察は8000人態勢で警戒を強めていた。
2019年のデモを取材した記者が、当時デモの集合場所だった公園に行ってみると。
記者
「すごく広いですね、この公園。奥まで2、300メートルあります。香港はきょうも30度以上の暑さなのでみなさん、上半身裸でバスケットボールをしています。2年前はこの辺、デモのある日は黒い服を着てマスクをした人でいっぱいでした。そうした人たちがこの辺に集まって、デモが始まると流れるように政府庁舎などに向かって歩いていく。当時はスポーツしている人は少なかった。だいぶ雰囲気は変わりましたね」
この日、大規模なデモは開催されず、普段の休日と変わらない様子だった。
続いて訪れたのは、香港島の商業街・銅鑼湾(コーズウェイベイ)。2年前の国慶節、デモ行進が始まった場所だ。
記者
「やっぱり祝日とあって人が多いですね。2年前、2019年はこの辺りがデモ参加者が集まる場所になっていたので。きょうはショッピングしに来た人、デモとか抗議集会に参加する感じではないのが見てすぐわかります。『そごう』がランドマーク的な場所ですが、以前は『そごう』の壁沿いにデモ参加者が待っていました。いま警察官が10人ほど立っていますが、それ以外はショッピングに来た人ばかりです。本当に平和な街になっています」
一方、目についたのが警察車両の多さ。
記者
「すごい警察の車の数ですね。こちらの路上に車が4台。中で警察官が休憩したり待機しています。平和な様子ですが、やはり警察としては2年前のような抗議デモを起こさせないように警戒しています。後ろの車も全部警察関係の車両ですね」
警戒している警察官に近づくと・・・。
警官「あなた方は何をしていますか?」
記者「私たちは日本のテレビ局です」
警官「日本のテレビ局?取材許可書か記者証はありますか?」
記者証を見せると解放された。
記者
「(警戒は)厳しいですね。当時抗議デモがあった時はこの通りの両側が人で溢れていましたが、随分変わりましたね。おととしの10月1日はこの辺すごい人だったのですが。きょうは全くデモをする雰囲気はありません」
中国政府は香港の民主派勢力を一掃する方針だ。香港の中国化が急速に進んでいる。(11日19:12)
29 сен 2024