動物虐待ではとの指摘がある三重県・多度大社の「上げ馬神事」について見直しの方針が決まりました。若者が乗った馬が駆け上がる急な坂の傾斜を緩やかにする方向で協議を進めるということです。
三重県桑名市の多度大社。若者が乗った馬が坂を駆け上がり、壁を乗り越えた回数でその年の作柄を占う「上げ馬神事」。
急勾配の坂に、人と馬が一体となって挑戦する様は、県の無形民俗文化財に指定され、先月も多くの観客に見守られながら執り行われました。
しかしこの伝統の神事が、今、岐路に立たされています。
その背景となっているのが動物虐待ではないかとの指摘です。
三重県によると、先月行われた神事では、馬１頭が坂の途中で転倒して骨折し、その後、殺処分。
馬をはっぴやロープでたたくなど複数の不適切な行為も確認され、動物愛護の観点から１０００件以上の批判的な意見が寄せられているというのです。
実際、桑名の街で聞いてみても…。
三重・桑名市民（80代）
「なんかあんまり賛成できない感じです。危険を冒してまでやらなくてもいいと思います」
三重・桑名市民（60代）
「初めて（上げ馬神事を）知ったときに馬がかわいそうだなって。“動物を大事に”っていう考え方の人からは、いじめてるとしか捉えられないと思う」
そうした中、県や多度大社などで作る事故防止対策協議会が１９日開かれました。
県は、坂の構造や馬の選び方などについて見直しを求めたといいます。これまでの神事で馬たちが走ってきた道は、傾斜のきつい坂の先に、土の壁がそびえたつ構造。
県の求めを受け、多度大社は「坂を緩やかにしたり」「壁を低くする」方向で、馬を奉納する御厨総代会と協議することにしました。
三重・桑名市民（50代）：
「それならそれでいいんじゃないかなと思いますけど。若い子たちが駆け上がっていくのを『のぼれたらいいな』とみているので、山が高ければ高いほど、達成感はあるだろうけども、両方がいい方でちょうど中間で、折り合いがつけばその方がいいんじゃないかな」
変化に理解を示す人もいる一方、神事としての性格を尊重すべきだという人も。
名古屋市民（30代）：
「虐待だっていう部分は意識せずに、神をあがめるものじゃないですか。そういう意味合いで僕は（元の形で）残ってほしい。（動物虐待だと）いうんだったら、鵜飼いだって一緒じゃないですか。鵜飼いだって伝統だけど鵜をつかってアユを吐かせている。キリがない」
賛否が分かれる、街の意見。しかし取材した中で「上げ馬神事自体をやめるべきだ」という人はいませんでした。
三重・桑名市民（70代）：
「伝統が断ち切られたら何ともならないので、未来に続けられるようにみんなで協力した方がいい」
坂や壁についての改善策は、今年末までにまとめられ、来年の上げ馬神事はその内容を反映した形で行われる方針です。
【2023.6.20 放送】
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5 сен 2024
