地面師たちを観た。
何物にも喩え難い高揚感に包まれ、ふと窓の外を見ると既に空は白んでいた。
大根監督が指揮を取る詐欺師集団をテーマにした作品と聞いた時、モテキやトリックのようなコメディ要素がふんだんにあしらわれた、カッコ良くも、泥臭い作品になるような気がしていたが、
視聴後はそれを清々しいほど裏切ってくれる作品だ。
僕自身がピックアップしたいシーンは
青柳(山本耕史)が
社長秘書(美乃すずめ)との
取引後のホテルでのラブシーン。
青柳が性交渉中に窓ガラス越しに
手に入れた土地を説明するも
秘書の目に映るのは、大都会東京の摩天楼のみで、秘書はそこがどこか分からないシーンだ。
はじめ見た時は、ウェットなユーモアに富んだシーンだと思っていたが2回目見た際、ここがこの作品の重要なメタファーであると確信した。
青柳が汗を掻きやっとの思いで手に入れた土地は、目には見えない土地。実在しない土地である事、成し遂げた偉業を誇示したい男と今を楽しみたい女、動物的本能と人間的思想が入り乱れる様をあの数秒で魅せれることに改めて尊敬させられたワンシーンだ。
あのラブシーンはラブシーンとして冷めたという意見がよく耳に入るが、そこは本当に重要なのだろうか?僕自身あれはラブシーンではなく、青柳という男を表現する為にはなくてはならないシーンではないだろうか?
このような"表現の幅"が
たくさん詰め込まれている作品
「地面師たち」
続きが楽しみだ。
(編集:吉田)
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4 окт 2024