【意訳】
仏の智慧の完成の真髄を教えたお経です。
観自在菩薩がかつて仏の智慧の完成を実践されたとき、肉体も精神もすべてが空であることを照見され、あらゆる苦悩を克服されました。
舎利子よ。存在は空にほかならず、空が存在にほかありません。存在がすなわち空で、空がすなわち存在です。感じたり、知ったり、意欲したり、判断したりする働きもこれまた空です。
舎利子よ。このように存在と精神のすべてが空でありますから、生じたり滅したりすることもなく、きれいも汚いもなく、増えもせず減りもしません。
そして原始仏教（小乗仏教）においては現象世界を五蘊、十二処、十八界、十二縁起、四諦と分析して煩雑な教理を説きますが、すべては空ですからそんなものは一切ありません。そしてまた分別もなければ悟りもありません。大乗仏教においては悟りを開いてもその悟りにこだわらないからです。
大乗仏教の菩薩は仏の智慧を完成していますからその心にはこだわりがなく、こだわりがないから恐怖におびえることなく、物事をさかさに捉えることなく、妄想に悩まされることなく、心は徹底して平安であります。
また三世の諸仏は、仏の智慧を完成することによって、この上ない正しい完全な悟りを開かれました。
それゆえ仏の智慧の完成はすばらしい霊力ある真言であり、すぐれた真言であり、無上の真言であり、無比の真言であることを知りなさい。それはあらゆる苦しみを取り除いてくれます。真実にして虚妄ならざるものです。
そこで仏の智慧の完成の真言を説きます。すなわちこれが真言です。
「わかった わかった ほとけのこころ すっかりわかった ほとけのこころ ほとけさま ありがとう」
般若心経。
10 мар 2015
