【ピアノの難曲をバイオリンで弾いてみた】シリーズ第4弾は、ショパンの「幻想即興曲」を演奏させていただきました。
僕が今まで投稿してきた動画の中でダントツで難易度が高かったです。
普段は大体練習し始めてから1〜2週間程でUPできるのですが、今回は約2ヶ月かかりました。想像を絶する難しさで途中で心が折れかけました。国際コンクールを受けた時よりも練習したかもしれないです。
折角なので今回の動画から演奏法解説をしていきたいと思います。
◆ウィルの超絶マニアックな演奏法解説◆
まず、この曲の最大の難関は0:19〜のフレーズ。譜読みの段階では音程が一番取りやすいフィンガリングでゆっくり練習していたのですが、理想のテンポで弾こうと試みたら、音程は取れるけど移弦が全然間に合わねぇ!となり、指弓やリズム練をしても、それは解決できませんでした。
そこでボウイング重視で、左手はフィンガードオクターヴを使う手法にチェンジしました。フィンガードオクターヴというのは、1-3と2-4の指で交互にオクターヴを弾くことで、連続して移動するオクターヴを明瞭且つ滑らかに奏でることができるテクニックの一つです。音程を取る難易度は多少上がるものの、指の開き具合を感覚で覚えていくことさえできれば、どんどん楽になる印象が個人的にあります。
ただ、この部分の場合、フィンガードオクターヴで使用していない残りの指を、常に3度〜4度の開きを保ったまま、同じ場所でキープしなければいけないという譜面になっていました。この感覚どこかでやったなと思い返してみれば、パガニーニのカプリスの6番や8番でした。6番を初めて練習した当時は指を攣りそうになったし、8番の3段目辺りで固定する指の音程を維持する辛さを味わったのは苦い思い出です。まさかこんなところで活きるとは思ってもいませんでした。
そして、Cantabileの中間部(1:03〜)。そこには楽園が広がっていました。
ピアノは一度鍵盤を押したらそこからCrescendoをすることは不可能なので、フレーズの頂点に向かってエネルギーを持っていく為に、左手(伴奏)の動きを持つパッセージで工夫したり、ペダルのタイミングの変化で表現する必要があったり色々難しいと思いますが、ヴァイオリンではその課題を難なくこなせるので、純粋にメロディを楽しむことができました。これこそピアノ曲をヴァイオリンで弾く醍醐味なのだといえます。
もっと歌いたかった感はありますが、様々な世界的ピアニストの演奏を聴き、ショパンの神経質という性格を加味すると、大らかに朗々と歌うような世界観まではいかないのかなと思いました。尺としては長くなってしまうので序奏と繰り返し無しの三部形式の演奏になりますが、ご了承ください。
Codaの始まり(3:09〜)もヴァイオリンならではの演奏法で、右手の裏拍のアクセントを強調しました。単純にアクセントの音符で弓を返すことによって、自然にそれを表現できたかと思います。弾き始めた当初は、拍の頭に弓の返しが来ないことに頭が混乱しました。
全体を通してピアノの右手の部分を演奏していますが、ラストの、Cantabileの主題が左手で回想されるフレーズはsul Gで弾きました。もう少し穏やかでも良かったかなとも思うものの、メロディの優美さにつられてしまいました(本当は弾ききった達成感が抑えきれなかった)。
また月光の時と違い、音域が足りなくなることが無かったので、ラスト以外は全て右手の楽譜通りに弾いています、多分。これまでにUPしたショパンの10-4やベートーヴェンの月光を含め、全てcis-mollという共通点に焦点を当てると、低い音域まで向かっていったとしてもDoppeldominanteのFisis(G)で留まってくれる傾向にあり、丁度ヴァイオリンの最低音(G)として弾けるのは、ヴァイオリンという楽器の可能性を最大限活かしているような気がして何だか気持ちが良いです。
◉今回の速弾きワンポイント◉
この曲に限らず、スラーで多くの音を速いスピードで一気に弾く際に、全ての音の粒をはっきりと鳴らすテクニックがあります。
音の下降形のみになりますが、よく超絶技巧曲などでエンカウントする左手のピチカートを、スラーで弾く時も同じようにやることです。完全に「はじく」までやってしまうと雑音になってしまいますが、程良い力加減でやると驚くほど明確に音の粒が立ちます。
今回で言えば、0:49〜の下降形半音階で使っています。普通に押さえているように見えるかもしれませんが、実は軽く弦をはじきながらスラーしています。特に半音階は音の変わり目が曖昧になりがちなので非常に有効なテクニックです。因みにこのテクニックを半音階で使う為には、同じ指でズラすフィンガリングをしているとできないです。
これを僕が初めて習ったのがヨーロッパに留学してからでした。日本にいる時から知っておきたかったなと何度も思いました。左手のピチカートさえできれば簡単に習得できるので、ぜひ騙されたと思って試してみてください。
次回の投稿もぜひお楽しみに!
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Violin Arrangement:Will Pampelmuse
Piano Arrangement:Coco Garfield / Die Milch
使用楽器:窪田博和 CHACONNE"2013"
#バイオリン #弾いてみた #幻想即興曲 #ショパン
14 окт 2020