2月28日、札幌市東区の札幌拘置支所。
私たちは、半年ぶりに公の場に姿を現す家族3人を待ち構えました。
石黒拓海記者
「午前10時8分です。半年間の鑑定留置を終えた田村修容疑者を乗せた車が出てきました」
捜査車両に乗って現われたのは、田村瑠奈容疑者。
父親で、精神科医の田村修容疑者。
母親の田村浩子容疑者です。
事件が起きたのは、札幌の歓楽街=ススキノのホテル。
田村瑠奈容疑者ら3人は、去年7月1日の深夜から翌2日未明にかけて、ホテルの一室で、恵庭市の男性会社員を刃物で殺害。
その後、首を切断して、自宅に持ち帰った、殺人や死体損壊などの疑いが持たれています。
捜査本部は、7月24日に瑠奈容疑者と修容疑者、翌日には、浩子容疑者を、死体損壊などの疑いで相次いで逮捕。
さらに、8月14日、殺人容疑で再逮捕し、事件の本格解明が始まるかのように見えた途端、事件は急展開をみせます。
捜査を指揮する札幌地検が、異例の半年間という長期の鑑定留置を求めたのです。
「遺体の首を切断して持ち運ぶ」という事件の特異性から、「犯行当時の心理状態が事件にどう影響したか、慎重に調べる必要がある」。それが理由でした。
元東京地検検事の中村浩士弁護士は、長期の鑑定の理由をこう想像します。
元東京地検検事 中村浩士弁護士
「同じ先生が3人を鑑定しているという前提での鑑定留置請求ではないか。通常の1人を相手にする鑑定より、やはり時間がかかるというのは、合理的だし、うなずける話しになってくる。そういったところを検察としては主張したのかな」
では、鑑定留置とは、一般的に、どのように行われるのでしょうか?
北大病院附属司法精神医療センター 賀古勇輝(かこ・ゆうき)センター長
「北大病院の場合は、原則として病院には入院させないで、警察署ないし拘置所にいるところに通って診察する場合が多い。特殊なことをするわけではなく、病院で行う診察とそれほど変わらない。病院であれば患者さんですけど、鑑定の場合は、被疑者や被告人。面接して、いろいろお話しを聞いて、その人に精神的な病気があるかどうかを判断することになる。病院で行う診察よりは、10倍くらいの時間をかけて念入りに行う」
鑑定は、病院で行われる診察と変わらないといいます。
また、回数も日常業務の合間に行われるため、週に1~2回程度だと明かします。
北大病院附属司法精神医療センター 賀古勇輝センター長
「普通の仕事がある傍らでやらなきゃいけないのですごく大変。毎日診察する余裕が、精神科医にないことが多く、大体週に1~2回の診察」
今回の鑑定結果をもとに、例えば、田村瑠奈容疑者が、現場のホテルの部屋の出入りで「服装を替えていること」、事件前に「ナイフやのこぎりを購入していること」、手袋を着用して「指紋を残さなかったこと」などの行動の計画性や一貫性、刑事責任能力などが、判断されることになります。
元東京地検検事 中村浩士弁護士
「非常に微妙な案件かなと思う。それ故に、6か月という異例な長期間を設けて、慎重に鑑定したんだと思う。瑠奈容疑者については、どういった精神状態であったと、またそれがどのように影響したかという、まさに本当に鑑定意見の内容によりけりかなというふうに思う」
一方、鑑定の最前線に立つ賀古勇輝センター長は、最後にこう付け加えました。
北大病院附属司法精神医療センター 賀古勇輝センター長
「精神障害がある人でも、責任能力に影響を及ぼす人はほぼいない。世の中の人は誤解するけど、(精神障害がある人が)不起訴とか無罪になると『精神障害だからって無罪になってけしからん』と炎上しますけど、精神障害ある人ほとんどが普通に裁かれて、刑務所に行く」
3月6日には、検察官が起訴か不起訴かの判断を示す「勾留期限」という大きな節目を迎えることになります。2024年02月28日(水) 18時50分 更新
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28 фев 2024