発足から30年を迎えたJリーグがいま、海外戦略を本格化させています。その舞台のひとつが東南アジアのタイです。アビスパ福岡もタイのクラブとパートナーシップ提携を結びました。現地で高まる日本サッカーの人気をRKBバンコク支局・ポンポン記者が取材しました。
◆昔はヨーロッパリーグが圧倒的人気だったが…高まる“Jリーグ人気”
タイの首都バンコクにあるサッカースクールです。タイでは、これまでヨーロッパのプロリーグが圧倒的な人気でしたが、実は近年、ある変化が。
タイ人の子供「浦和レッズで活躍しているタイ人の選手が好きです」
「日本の有名なクラブにいきたいです」
Q.Jリーグでプレーしてみたいですか?「やってみたいです」
Jリーグの注目度が急速に高まり、日本でプロになることを夢見る子供たちが増えているのです。そのきっかけとなったのが…。
日本人コーチ「チャナティップ選手が日本に移籍したあたりから、タイでJリーグの人気が高まっていると感じています」
2017年にタイリーグからコンサドーレ札幌に移籍したタイサッカー界のスーパースター、チャナティップ・ソンクラシン選手。チャナティップ選手は158センチと小柄ながら、抜群のスピードと俊敏なフットワークで2018年にクラブをJ1の4位に導く活躍を見せました。タイ国民の間でJリーグの裾野は一気に広がり、Jリーグの公式アンテナショップも登場。おととしからは、地上波テレビ局や動画配信サイトなどでもJリーグの試合が視聴できるようになりました。タイでのJリーグの関心度はおととしが61%と、ここ10年ほどで3倍以上に増えたとの調査結果もあります。
◆Jリーグ側にも海外戦略強化の動き
RKBバンコク支局・ポンポン記者「Jリーグの人気が高まるなか、ここタイにセレッソ大阪が試合に来ました。会場は多くのファンで盛り上がっています」
バンコク郊外で開催された地元のプロサッカークラブとセレッソ大阪のフレンドマッチ。セレッソは、タイのクラブと提携し、新たなファン層の獲得や選手育成を目的にサッカースクールの運営など様々な取り組みを進めています。
訪れたタイ人の女性ファン「香川選手を見に来ました!」
「Jリーグのクラブが来てくれたら、サッカーの人気はもっと広がると思います」
男性ファン「子供たちも連れてきたので、日本のサッカーのレベルを感じて、そこまで成長してほしいと思います」
この日の試合には、日本代表でも活躍した香川真司選手が出場したほか、現在はタイのクラブに所属するチャナティップ選手もプレーし、ファンを沸かせました。
香川真司選手「これだけたくさんのサポーターが来てくれて、自分のユニフォームを掲げてくれて、タイのサッカー熱というのを改めて感じたし、自分がこんなに応援されているということは幸せなことですし、みなさんに感謝したい」
◆アビスパ福岡もタイの強豪クラブとパートナーシップ提携
ポンポン記者「アビスパ福岡の本拠地、博多の森です。このスタジアムがタイ人でいっぱいになる日が来るかもしれません」
アビスパ福岡も去年、タイの強豪クラブ「ポートFC」との間でパートナーシップ提携を結びました。クラブやアカデミーを通じた交流などによって選手や指導者の育成・強化を目指すだけでなく、新たなファンやスポンサーの獲得にもつなげたい考えです。
アビスパ福岡・川森敬史会長「タイはSNSでもXのフォロワー数とか日本じゃ比べ物にならないぐらい一人ひとりの選手にファンがついてらっしゃるので、そういうマーケットっていうのは大事な地域だと思っています。アジアの玄関口といわている僕たちの福岡市のシティプロモーションにも使っていただけるようなクラブに成長したいと思っています」
◆「連携強化でタイサッカーのレベルアップにも期待…」ポンポン記者スタジオ解説
宮脇キャスター:取材にあたったRKBバンコク支局のポンポン記者です。ポンポンさんもタイで生活していてJリーグ熱は感じますか?
ポンポン記者:SNSの普及でJリーグの選手の動画などを見る機会も増えました。あえてタイ語を使って情報発信をしている日本のクラブもありますので、Jリーグに興味を持って書き込みをするタイ人のファンも増えてきています。
池尻キャスター:Jリーグとの関係が強化されることで、タイサッカーのレベルも今後、上がっていくと思いますか?
ポンポン記者:タイはJリーグをモデルとしてプロリーグが発展していますし、タイのサッカーファンの夢であるワールドカップの出場にも近づくことができると思います。Jリーグでは、チャナティップ選手のほかにも、これまでに15人のタイ人選手がプレーするなど、レベルも上がっています。日本とタイの連携が進めば、Jリーグの認知度を広げるだけでなく、タイ人選手の能力アップというウィンウィンの効果も期待できます。
29 фев 2024