11月5日は国連で制定された「世界津波の日」です。実は、四国や九州に囲われた広島県でも津波による被害は予測されています。何が起きるのか専門家に聞きました。
近い将来、起きる可能性が高いと予測されている「南海トラフ巨大地震」。広島県内では最大震度6強、死者は最大でおよそ1万5600人が見込まれています。
さらに、地震に伴って発生するのが津波です。
これは、広島県が作成した南海トラフ巨大地震が発生した際の津波の動きです。地震が発生して3時間から12時間後には県内の沿岸部を中心に、最大で1・9メートルの津波が想定されます。
地震、そして津波が来たら広島の街はどうなってしまうのでしょうか。地震の揺れについて研究している広島大学の三浦弘之准教授に伺いました。
【広島大学先進理工系科学研究科・三浦弘之准教授】
「広島市の中心部というのは、元々江戸時代くらいに埋め立てた干拓地に広がっているので、非常にやわらかい地盤が堆積していて非常に揺れやすい地盤になっている」
高知県とか徳島県とかと比べると、南海トラフ巨大地震の時の津波というのは広島県は比較的小さいと言われています。そうは言っても沿岸部では高さ1、2メートルくらいの津波が来るというような予測がされていますので、海際に建っている建物なんかは影響を受ける可能性が非常に高いと思います」
三浦・准教授によると、広島市内では地図の赤くなっている沿岸部の方が、地盤が弱いため強く揺れることがわかっています。
そうした地域の一つが、海に近い広島市南区の宇品地区。大通りには大きな建物も目立つ一方、古くからの街並みも残る地域です。
【広島大学先進理工系科学研究科・三浦弘之准教授】
「この辺り、古い住宅地になっていますが、後ろを見るとちょっと高くなっていて、手前が地盤が低くなっている。こういった所は、水が集まりやすくなるので、津波が来た時に、より高い津波に襲われる危険がある」
この場所の海抜はマイナス0.3メートル。周辺よりも低くなっているため、津波が来たときに被害も大きくなると予測されています。
【広島大学先進理工系科学研究科・三浦弘之准教授】
「国の計算によりますと、この辺り3m以上の津波が来ると予測されていますので、戸建ての建物は壊れてしまう危険が非常に高い。私たちの頭より高い津波が来ますので、浸水も当然します」
さらに、地震発生時には建物の高さの違いによって揺れの大きさが変わると指摘します。
【広島大学先進理工系科学研究科・三浦弘之准教授】
「地盤の揺れやすい周期と建物の揺れやすい周期が一致してしまうと、”共振”という状態になって揺れが大きく増幅されてしまうという恐れがあります。そうなってしまうと、中に住んでいる人にとっては、非常に大きく揺れを感じて恐怖を感じる恐れがある」
この実験では、建物の重心の位置の違いで揺れの大きさに変化が起きることがわかります。
【広島大学先進理工系科学研究科・三浦弘之准教授】
「こちらの模型は、低層の建物と、高層の建物を表しています。建物は高さによって揺れやすさ、揺れの周期が違います」
同じ場所で揺れが起きた場合でも、建物の揺れ方は高さによって変わります。そのとき、地面の揺れの周期と建物が元々持っている揺れやすさの周期が一致する現象を「共振」と呼び、揺れが強くなる原因となるのです。
【広島大学先進理工系科学研究科・三浦弘之准教授】
「揺れが大きくなりやすいという意味では、20階建てくらいのマンションが危ないと言えますが、低層の建物なら安全かと言えばそうでもなくて、揺れ自体が大きくなるし建物の耐震性が十分でない建物は被害を受ける可能性がある。
南海トラフに限らず、広島県ではいくつか活断層による地震も予測されていて、活断層の地震が起きると、私たちの暮らしている都市のすぐそばで地震が起きる可能性があるので」
広島にも、いつ大きな被害をもたらすかわからない地震による災害。対策を忘れることなく一人一人の心がけと行動が重要です。
12 сен 2024