太田修嗣さんの漆器を手にすると、いつも森に根を張った木を思い起こさせる。
それは当たり前のように思えるかも知れないが、典雅な姿だけを追い求めやすい漆芸の世界において、素材の持つ力強さを感じさせるということは決して簡単なことではない。
分業で行われる事が一般的な漆芸の仕事だが、太田さんは一貫してご自身で行う。
原木の選択から、鉋や鑿、木工轆轤を用いての木地作り、時には指物の仕事も行い、最後に塗りを重ねていく。
木は人の手により姿を変え、やがて美しい作品となるが、太田さんの漆器は原木の力強い息遣いが確かに感じられるのである。
1949年 愛媛県に生まれる
1981年 鎌倉にて漆塗り職につく
1983年 村井養作氏に蒔絵を学ぶ
1988年 神奈川厚木にて独立
1991年 しぶや黒田陶苑にて個展
1993年 愛媛県伊予郡に工房を移す
22 фев 2024