西芳寺（苔寺）：庭園全体を覆う美しい苔の世界。春の日の雨上がり、瑞々しい苔の庭園をご覧ください。[No.450]  

苔寺の愛称で親しまれる西芳寺は西京区にあり、地下鉄と阪急で２５分ほどの上桂駅から、徒歩で１５分ほどです。
もともと聖徳太子の別荘があったと言われている場所に、奈良時代に高僧行基が法相宗の寺として開山したのが起源だそうで、約1,300年という長い歴史を持つ寺院です。
その後、戦乱により境内は一時荒廃しますが、室町時代には作庭の名手でもあった高僧夢窓疎石(むそうそせき)が臨済宗の禅寺として再興しました。将軍足利義満や義政も西芳寺を訪れて坐禅に励んだそうです。
幕末には過激な尊王攘夷派から命を狙われた岩倉具視が隠棲し、現代ではスティーブ・ジョブズがお忍びでよく訪れていたそうです。
苔寺の愛称の通り、庭園は美しい苔で覆われています。
室町時だに寺院を再興する際、夢窓疎石は石組みを庭の主役として禅の精神性を表現した庭を作り、後の金閣寺・銀閣寺の庭園の原型となったそうです。苔寺の庭園といえば苔に覆われた緑のお庭のイメージがありますが、作庭当時は白砂の日本庭園だったそうです。
江戸時代末期に西芳寺川の氾濫による洪水の被害で泥に覆われるなどして荒廃し、やがて苔が生えはじめ長い時間をかけて庭園全体が苔で覆われる景観が作られました。
雨上がりは苔の緑も一層瑞々しく、訪れる人に一期一会の心に沁みる景色を見せてくれます。
《撮影メモ》
このお寺への参拝は完全予約制になっており、予約していない人は境内に入れないのでご注意ください（当日対応などはないようです）。また、私の参拝した日は１２時半で閉門となり、１１時参拝の予約でしたので少しお庭での時間が短く感じました。お庭をゆっくり楽しむのであれば、９時や１０時の予約の方がよいと思います。予約の詳細は公式ホームページでご確認ください。
また近くに地蔵院、鈴虫寺、松尾大社などもありますので、同じ日に回るというのもよいかと思います。
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