00:00 OP
01:21 日々心がすり減る
04:00 人間の脳は描写困難
08:53 集団からはじかれてしまった人たち
11:09 どうやって森に戻すのか
13:13 つながるメリットとデメリット
本日は雑談をさせてください。
どんな話かというと、僕の世界観です。最近考えていることをざっくり話そうかなと思います。
学術的な正しさとか、精神医学から持ってきたとかそういう正しい話ではなく極めて個人的な話です。
僕が色々な本を読んだりしながら、矛盾なく知識を得るために、自分なりに作り上げてきた世界の話をしようかなと思います。
もしそういう個人的な話は聞きたくない方は、今すぐ動画を切ってください。
あと精神科医の僕のRU-vidチャンネルは影響力がありますよね。
そういう精神科医が個人的な話をするのはどうなんだと思われる方もいるかもしれません。そういう人もチャンネルを切ってください。
ただ、こういう話もちょっとしたいなと思ったのでさせてもらえたらなと思います。
■日々心がすり減る
どうしてこの話をしようかと思ったかというと、やはり日々臨床しているととても苦しくなるんですね。
「自分は何のために働いているのか」「何をしているんだろう」ということを思うのです。
僕が医師になった時やなる前は、もっとシンプルに考えていました。
自分の人生というか世界をシンプルに考えていました。臨床家として生きるということもシンプルに考えていました。
なんとなく脳科学や精神医学を勉強できて、普通の人よりは詳しくなれるからいいじゃない、みたいな感じでした。
臨床したら人から感謝されますし、頭を使って何かをできるという作業は、体を使うよりも得意だったから、頭を使う方が自分の得意を活かせるだろうし、感謝もしてくれるし、お金も稼げるし、臨床家として生きる人生というのはアリだなと。
たった一度の人生を臨床家として生きるというのは良さそうだなと思ったんですよね。
でも実際やってみると責任も伴うしそんなに単純な話ではありません。
やらなければいけないことも多いですし、考えなければいけないことも多くとても苦しいです。
もちろんお金は稼げるし、感謝もしてもらえるし、まあ良かったと思うこともある。
けれども学者のような形で本当に知の追求ということはなかなか難しいですし、実践的なものばかりを追うことで、日々心がすり減るようなところ、本当のクリエイティビティとは関係のない、自分が消耗されていくような感じというのはやはり日々感じています。
自分の時間を消費している、誰かのために費やしていることの意義が時々わからなくなるというか、困る、不安になることはあります。
でも世の中の仕事というのはほとんどそうだと思います。
ほとんどの仕事というのは、クリエイティビティというか、個人の中のそういうものを十分に活かしているものとは言えず、システムの一部であることを求められることになると思います。
でもそんな中で、歯車の一部であるならば、それなりの意味って何なんだろうということは、僕みたいな人間でも、歯車なりにもいろいろ考えます。そういう話をさせてください。
■人間の脳は描写困難
命というものが地球で生まれてから、ホモサピエンスつまり人類が進化して生まれてきました。
人類は他の動物とどう違うのかというと、「脳が大きい」ということと「ムラ」です。
群れで生きながら、言語を使ったりコミュニケーションをしながら、普通の動物とは異なる複雑なメカニズムのムラを作り上げたというのが人間の特徴なのではないかと思います。
これはすごく多面的で多機能的なものです。とても複雑なものを持っています。
人間は本能や感情というものを超えて、理性というものを使ってムラや集団としての動きを獲得しますが、現実をそのまま見るように進化したのではありません。
物理的な現実を見るのですが、頭の中では社会的な現実に変換した上で理解しています。
そのままのものを取り入れているのではなく、一度脳内で変換して、その変換したものの中で生きているという感じです。
物理的な現実が実写の世界で、社会的な現実がマンガにしたような世界です。
一回写実的に捉えたものをアニメーションに変えて脳内で体験しているというようなイメージ。
もうちょっと言うと、物理的な現実とは何かというと、岩の塊、土の塊、木、森などです。
社会的な現実はここに「機能」を持たせます。
木ではなく、木材ではなく、「椅子」「机」
紙ではなく、「お金」
山ではなく、「富士山」
森ではなく、「ナントカの森」、「誰かの所有地」
このように意味を付けて見ています。
記憶、文化、学習、言語、そういうもので意味付けられたとても複雑な世界、もしくは物理的な現実をかなり簡略させた世界の中で僕らは生きているということです。
社会的な現実というのはどういうものなのかというと、集団で作り上げている何かであることもありますし、個々に持っている世界ではあるけれど、ベースは集団的なものがあったり、仕組みとか、ルールというものがあったり、常識というもので規制されていたり、科学技術を生み出したり、科学技術によって変化させられるものだったりします。
科学技術で物理的な現実にも介入するのですが、そういうものです。
ここら辺は話すとややこしいです。
社会的な現実は、人によって見ている世界が違うので人によって違います。
ですがどこか共通する部分もあって、そこが人間が持っている面白さなんですよね。
僕ら人間の活動を認識するというのはとても困難です。
脳の中を把握するのは困難ですし、脳と脳が互いに連動して動く人間の社会、群れの行動を認識するということはとても困難です。
精神科医でもどんなに勉強しても本当の意味ではわからないんですよね。
脳は膨大なパラメーターとデータから成り立ちます。
脳と脳の連動させたものというものも、膨大なパラメーターとデータから成り立つのです。
ですから人間の脳で認識できないですし、描写さえ困難です。
僕らは比喩や例えとかを使いながら何かを説明するのですが、本当の意味で今起きている現象、患者さんの頭の中で起きている現象、患者さんの日常で起きている困りごと、生活を描写したり、語ったり、認識することというのは本当の意味ではできません。
できないなりに頑張っているというのが精神医学なのかなと思います。
■集団からはじかれてしまった人たち
結局、「利己的な遺伝子」みたいな考え方で、人間というのは全員がハッピーに生きるというよりは、何割かが幸せ、幸せでなくても良いのだけど、生き伸びれば生命としてはOKなわけで、どうしてもはじかれてしまうものというのが出てきてしまう。
はじかれてきてしまった人たち、集団の中からはじかれてしまった、ホモサピエンスの全体の中からはじかれてしまった人たちを、少しでも救う、元の世界に戻してあげるというものが医学であり治療だと僕は思っています。
例えば「進撃の巨人」みたいな世界を思ってもらえば良いのですが、多くの人は「健康」というゾーンの中で生きています。そして真ん中を目指します。
真ん中というのは充実してる人たちのゾーンです。
「健康」のゾーンの中でワイワイワイワイみんな生きているという感じです。
ここから外れると「不幸」という世界に行きます。
不運、虐待があった、他の人よりも能力が劣っていた、事故に遭ってしまったとか。
この不幸の期間が長く、ストレスが溜まってくると、「病気」になるということです。
精神疾患というのは遺伝子+ストレスによって起きるので、急激にパっと病気に行くというよりは、不幸や不運と呼ばれるゾーンを一回経てから病気になることになります。
普段は「健康ゾーン」で生きているのですが飛び出てしまう。
そして外側の世界で生き始める。
外側の世界で生きていて、ついに「病気の世界」に来てしまうというのが精神医学の世界という感じです。
■どうやって森に戻すのか
精神科医が診ているところは実はこの「病気」から「不幸」に戻す作業なのです。
診断して薬を出すというのは、「病気」から「不幸」に戻すような作業なのです。
症状が取れました、アルコール依存症の人がアルコールを飲まなくなりました、摂食障害の人が食べ吐きが減りましたとか。
でもやはり病気になる前に戻るだけなんですね。
概要欄続きはこちら(字数制限のため)
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オンラインにおける治療戦略について RU-vidの治療効果
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【精神科医がこころの病気を解説するChとは?】
一般の方向けに、わかりやすく、精神科診療に関するアレコレを幅広く解説しています。動画における、精神分析や哲学用語の使用法はあくまで益田独自のものであり、一般的(専門的)な定義とは異っているところもあります。僕がもっとも説明しやすいとたまたま感じる言葉を選んだだけなので、あまり学術的にとらないでいただけると嬉しいです。
早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介
【自己紹介】
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。
【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第3 www.medsi.co.jp/products/detail/3509
倫理規定について note.com/mentalyoutubers/n/nb130991f3fa4
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28 июн 2022