東名阪自動車道で大規模なリニューアル工事が行われています。
100年先まで安全な道路を作ろうという工事に密着しました。
前代未聞の道路工事。立ち入り禁止の中を覗いてみると…
大きなクレーンがせわしく動き回わり、
キリンのような特殊機械が所狭しと走っていた。
工事期間は2年。延べ13万人の作業員が関わる超巨大プロジェクト。
それは…
(中日本高速道路 名古屋支社 牧野卓也 副所長)
「この工事は“かつてない規模”の工事となっています」
高速道路のリニューアル工事に密着!
東海地区の物流を支えるその最先端技術にカメラが迫った。
2022年1月11日の深夜。
(笠置ディレクター)「現在深夜1時半です。追い越し車線にラバーコーンを設置し車線規制が始まりました」
東名阪自動車道のリニューアル工事。愛知県の蟹江ICから三重県の長島ICの下り線の一部、国内で過去最長となる全長1.6キロの路面全てを取り替えるという大規模な工事です。
従来なら3年以上かかる難工事ですが…
(牧野 副所長)「さまざまな工夫と最新の工法を採用することで、約23か月(2年)で工事を終える予定です」
その一部始終を「チャント!」が独占取材!
1月14日。キリンのような長い首をもった1台の機械が動き出しました。
(牧野 副所長)「ロードカッターといいます。黒いアスファルト舗装を削り取る機械です」
リニューアル工事で最初につかうのは「ロードカッター」。
車両の下側には巨大なローラー。その表面には鋭い無数の突起が…これは「ダイヤモンドブレード」と呼ばれる路面を削り取る硬い爪なんです。
そして…排気量1万5000ccのディーゼルエンジンが唸りをあげます。
ローラーが高速で回転し…1センチ単位の精度でアスファルト舗装を削り取っていきます。
削り取ったアスファルトはベルトコンベアーで運ばれ、ダンプカーの荷台に積まれていきます。その実力たるや…
(牧野 副所長)「ダンプカー1台あたり、約10分で一杯になるほどの高性能です」
値段は1台およそ1億円!
削りと積み込みを同時にこなす事で作業効率が大幅にアップ!
3月27日深夜1時。この日は、工事に使う部材の搬入と搬出が行われます。
今までは全面通行止めをした上で行っていましたが、今回は特別な方法で挑むといいます。
(笠置ディレクター)「現在午前1時です。今、重さ56トンもある巨大な鉄骨が持ち上げられました」
高速道路の真横から巨大なクレーンで鉄骨をくみ上げて4時間かけて完成。これは一体…
(牧野 副所長)「揚重機(ようじゅうき)といいまして、工事現場の中から資材を(道路の)外側におろしたり、(道路の)外側から資材を持ち上げて中に持って来る機械です」
「揚重機」と呼ばれる最新のクレーン設備。
道路上から古くなった部材をワイヤーロープで吊り上げ、高速道路の外側で待機してあるトレーラーの荷台に直接運び込む。
3台の揚重機をフル稼働させ搬入と搬出を同時に行うことで工期の大幅な短縮を図ります。最大の特徴は…
(荘司カメラマン)「従来は高速道路を通行止めにして工事を行っていたということですが、この揚重機を使うことで、全面通行止めをしなくても工事が可能になりました。現在も車が走行しています」
名阪自動車道が開通したのは、高度成長期の真っただ中だった1970年。亀山と四日市を結ぶ21キロが始まりでした。この頃、アジア初の日本万国博覧会が開幕し、街では「ミニスカブーム」が到来。交通巡視員の訓練もなぜか全員ミニスカートで行われました。
1975年には今回の工事区間、蟹江から桑名が開通すると共に全線が4車線化。渋滞緩和に一役かいました。
この年、夢の超特急と呼ばれた新幹線も東京から博多まで延伸し、中日ドラゴンズが優勝した1988年には、清州東から名古屋西間が開通し、市内へのアクセスが飛躍的に向上。
愛・地球博が開幕した2005年には、伊勢道と接続し全面開通したのです。
開通してから半世紀以上が経ち、こんな問題も…
(中日本高速道路 名古屋支社 小宮聖子さん)「あれです。亀甲ひび割れといいまして、かなり(コンクリートが)劣化している状況です」
こう話すのは、中日本高速道路の小宮聖子さん26歳。土木工事現場で働く「ドボジョ」の世界に飛び込み早2年。大学で土木と建築を学び、今は牧野さんの指導のもと道路の耐震工事やリニューアルの設計を受け持ちます。
音を頼りに損傷した部分を特定します。
(牧野 副所長)「このへんは固い…音が全然違いますよね」
大型車両や交通量の増加などで道路そのものが経年劣化を起こし、コンクリートがもろくなっていたんです。そこで…
(牧野 副所長)「補修ではなく、全ての床板(しょうばん)を取り換えて新品にします」
その見た目から名づけられた「門型クレーン」。
運びだしているのは…
(牧野 副所長)「アスファルトの路面の下にある傷んだコンクリートの板になります」
道路の基礎となる「床板」とよぶコンクリート製の分厚い板。
かつては工事現場で速乾性のコンクリートを打設しながら補修していましたが…今では門型クレーンで取り外し、工場であらかじめ作ったものを埋め込んでいくだけ。
そして舗装技術にもある秘密が…
(小宮さん)「こちらは“高機能舗装”といいます。水がたまりにくい構造になっています」
一般的な舗装と比べてみると・・
(笠置ディレクター)「水たまりになっています」
一方、画面左側の「高機能舗装」は…。
(笠置ディレクター)「水がどんどんしみ込んでいきますね」
スポンジの様な空間をもたせることで排水性を高め、スリップ事故を減らそうというのです。さらに…
(小宮さん)「走行騒音も低くなる舗装です」
実際に走りを比べてみると。
高機能舗装は…走行音が体感で5割ほど低くなるといいます。
最新の技術を使っている東名阪道のリニューアル工事は、2023年12月まで続きます。
(牧野 副所長)「私たちはプロフェッショナルとしてベストをつくして、これを良好なる社会資産として、次世代に引き継げるようにしたいと思ってます」
(小宮さん)「より高い品質管理を求めながら、安全に完遂できるように頑張りたいと思います」
2022年4月26日放送 CBCテレビ「チャント!」より
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9 май 2022