現在、多くの酒蔵ではステンレスの桶を使い、データ化された手法で酒の味を均質に造り出すやり方が主流です。ところが秋田県秋田市で170年の歴史を誇る新政酒造では、8年前から木桶を使い、野生の酵母から独自の菌株で醸造する昔ながらの酒造りを復活させました。木桶の表面の小さな孔(あな)や、部材のすき間に残る微生物の生命活動が、より個性的な酒造りに影響するためです。その木桶を作る職人の減少が課題となった時、同社の佐藤祐輔社長が知り合ったのが、住宅設計士の相馬佳暁さんでした。相馬さんは半年に一度、大阪にある木桶の製作所を訪ね、職人から技術を学んでいます。木桶に使う板は、1本の木から4~5枚しかとれません。幅はそれぞれで異なり、その大きさや向きを設計して組み立てるのは至難の業です。足掛け3年、悪戦苦闘しつつも、相馬さんは製作から修繕まで、木桶に関わるすべての技術を身につけることで、佐藤さんと共に秋田の木と米と水で完結する酒造りの実現を目指しています。
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12 сен 2024