Toshi Tani 1970年代はまさに電卓戦争でした。しかも電卓戦争は外国の家電メーカーの外圧ではなく、当時国内で電卓を作っていた40社あまりが切磋琢磨して、いかに価格を下げるか幾何に使いやすい電卓を作れるかを競い合っていました。(ちなみに1970年代はじめ、電卓を作っていたシャープやカシオの他にソニーや松下、東芝にキャノンやNECや三菱電機も電卓を製造していましたし、価格の安さを武器に事務室の一角くらいのスペースで電卓を製造していた零細メーカーもありました)しかし、電卓戦争の過程でシャープは液晶技術を武器に、カシオは電卓の回路を印刷で作ることを武器にしたことでかなり電卓のコストを下げ、結果的には大手家電メーカーや外国の家電メーカーはシャープやカシオに勝てず、電卓事業から撤退していきました。当の電卓戦争の勝ち組とされたシャープやカシオに言わせれば、自分たちは競争したという意識がなく、たまたま自分たちの技術や機能が、お客さんに喜ばれただけで、自分たちが知らないうちに、よそのメーカーが自然消滅したり撤退したに過ぎないということでした。それが今や100均で電卓を買うことができ、しかもスマホのアプリから無料で電卓を拾うことができるとは、想像できませんでした。