1956年公開のアメリカ制作映画。ジョージ・シドニー監督(「錨を上げて」「アニーよ銃をとれ」など)。主演はタイロン・パワー(18歳でデビュー、22歳「勝鬨」で売り出す)、共演にはキム・ノヴァク、ビクトリア・ショウなど。
原題は「The Eddy Duchin Story」(エディ・デューチン物語)となっておりまして実在の音楽家を題材にした物語です。ピアニストでありバンド・リーダーも務めていたデューチンは1930年代一時代を築き人気を博していましたが41歳(1951)で病死しました。また、デューチン役のタイロン・パワーもこの映画の公開時から2年後に44歳の若さで他界しました。映画撮影時に心臓麻痺で倒れたとのことでした。
(カーメン・キャバレロとエディ・デューチン)
さて、音楽はジョージ・ダニングが担当しましたが映画の中でのピアノ演奏はカーメン・キャバレロが吹き替えしました。そして主題歌とも言えます「To Love Again」はキャバレロの代表的演奏として今日まで高い評価を受けています。この原曲はショパン「夜想曲第二番」でありキャバレロは巧みにポピュラー調にアレンジを施しました。彼の特徴的タッチはこれでもかと言うほどにきらびやかな演奏で魅せています。
ところでキャバレロ(1913生~1989年没)は丁度本作の主人公エディ・デューチン(1910年ごろ生~1951年没)と同時代を生きていたことが分かります。演奏家としての活動時期もほぼ被っています。そして面白いことにキャバレロは自分の演奏スタイルがデューチンの影響を受けていることを公言しています。この映画はもちろんデューチンの死後に作られていますのでキャバレロとしても感慨深い作品になったのではないかと思われますね。
16 сен 2020