DEER HUNTER８ 

獲物が歩いている、走っているときに撃つことを動体射撃と言いますが、横に動いている分には距離が変わらないのでスコープの倍率はそのままでも着弾は予想しているところになります。 今回は獲物がこちらを捕捉できていないので元々の進行方向であった、こちら側に向かってくる形となり、距離が刻一刻と変わる中、同じ倍率で見ているので獲物の上下に激しく動く首に当てるのは非常に難しいという状況でした。 この場合は距離に応じて銃口の上げ下げをしないと首には正確に当てられないということです（弾は放物線を描くので）。 射撃においては獲物が横に動いている方が距離が変わらないので当てやすいはずです。 表現的には"待ち伏せ"ではないですね。 狩猟において獲物を追う場合、色々な距離の詰め方があります。狩猟映像の中で今まで説明したことはないかもしれませんが、映像の前半で「足跡を逆順で辿っている」と説明があるはずです。 これは通常の真新しい獲物の足跡を追うのとは逆で、この場合、時間帯さえ合えば、迎え撃つように出会えるということになります。 エゾシカは同じ時間帯に同じ順路を辿ることがとくに動きが制限される冬の雪山では多くなります。 日中は雪が解けて笹が掘り起こしやすい暖かい南側斜面を餌場にして通り、夕方に沢に下りて、水飲み、夜は寒さをしのぐために雪が少なく、木の根が出ていて温かい針葉樹のある場所に居座り（寝たり、移動したり）、まだ暗い早朝にまた水飲みに沢に下りて、そこから笹を掘り起こしやすい暖かい南側斜面に…と、いくつかの山と谷間を行き来しています。 猟師によっては「山をぐるぐる回っている」とも表現します。 数時間前の真新しい足跡であれば、そのまま順路を辿るように追って見つけられますが（昨年のDEER HUNTER白底翳参照）、今回は真新しい足跡がなかったので元々、目星を付けていた南側斜面のあるところに向かって足跡を逆順で辿っていたということになります。 水飲みの沢の位置やエゾシカが下りるのに使う谷間の位置、日中に餌場としている場所、同じ経路でぐるぐる回っているのが足跡から確かであれば、迎え撃てるという予想の元の詰め方です。 上記のことを映像内で説明すると文章だらけになってしまうので、映像の前半のテロップでは「今までの経験から出会う確率が高い」という表現に留めています。