交響曲第4番《尽きせぬ想ひ》
SYMPHONY No.4 “INEXHAUSTIBLE LONGING”
第1楽章 3:33 第2楽章 12:12 第3楽章 21:21
作曲・指揮：長生淳
演奏：静岡大学吹奏楽団
2020年12月13日「ハートフルコンサート2020 尽きせぬ想ひ」
静岡市民文化会館大ホールにて初演
この曲は、2020年度の4年生の「何かこの団に長く残るものを」という思いから生まれた静岡大学吹奏楽団の委嘱作品です。
静岡大学には2019年より”静岡キャンパスと浜松キャンパスを分離し統合再編する”という議論があります。分離されてしまうことにより、静岡大学吹奏楽団がこれまでどおりの活動がもうできなくなってしまうのではないか…という不安に胸を苛まれる中で、「委嘱作品を作って後世に残そう」というプロジェクトが4年生の企画として進んでいきました。
その思いを託すのは、2018年に初めて取り組んでから今まで大変お世話になっていた長生淳先生でした。
かくして私たちの手に渡ることとなった長生淳先生の第4作目の交響曲。しかし、2020年1月に確認された新型コロナウイルスの影響によって、当初の4年生の思惑を遥かに超えて、私たちにとって、そして世の中にとって、重く大切な意味を持つ作品となりました。
当団は2021年の全日本吹奏楽コンクールの自由曲として第3楽章を演奏し、全国大会出場ならびに銀賞を受賞いたしました。
以下に作曲者の長生淳先生ご本人より曲についてコメントを頂きましたので掲載させていただきます。
ベートーヴェンでもない身で新しい曲を書く意味などあるやいなや。ない、といわれると弱ってしまいますが、今の時代の空気を反映し、今を生きている人たちに寄り添えたならあり、なのではないか。そう考えるもので、委嘱をいただいて書くにあたっては、できるだけご依頼主に寄り添っていくというのが常なのですが、この曲はとくにその色合いが強くなりました。大変な苦労に見舞われたのは大学生だけではないものの、大学に行けない、生活も大変だといったニュースを耳にするたびに、こちらの学生さんたちはどうしているだろうかとひときわ気を揉み、演奏会やコンクールが中止と聞いては胸のうちが思いやられ、それがたしかに曲に影を落としています。急緩急の３楽章で、１楽章は華やかなところから、次第に雲行きが怪しくなり、２楽章は感傷的な歌、３楽章では乗り越えてゆく過程を経て華やかな楽想が戻ってくる、というのが当初描いた構成で、大筋ではそれに沿って作られているのですが、書き進める中でより重みをもった姿に変わりました。１楽章は雲行きが怪しいどころではなく、深刻で悲劇的な曲調にまで至り、２楽章は感傷というより嘆きの歌、しかもそれにとどまらず粘り強く克服しようと闘う姿をも交え、３楽章では、元に復すだけではなく、さらにその先へと広がっていくように、と。それを貫くものが、言葉であらわすとすれば「尽きせぬ想ひ」。「想ひ」と表記したのは、歌語では、思ひの「ひ」に「火」を重ねて、燃えるような思いをイメージさせるのだそうで、それに倣ったもの。願はくば、この想ひが聴きにきてくださった方々それぞれの思ひにつながってゆきますように。
今回は、作曲者自身による自作自演で行われた世界初演の際の映像を、長生淳先生のお言葉とともにお送りいたします。静岡大学吹奏楽団と長生淳先生の”尽きせぬ想ひ”がより多くの人に伝わるとともに、この世の中がより平和になることを心より祈っております。
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6 сен 2024
