今回もカメラの中で忘れられたフィルムを現像してみる試み。
このフィルムはおよそ30年前に新宿の中古カメラ店で購入した8mmカメラの中にあった物だったと思う。カメラから取り出し、別途保管していた。ちなみにカメラの裏蓋のスポンジが劣化してフィルムのラベルにスポンジの跡が残っていることから、元のフィルムはいつ頃の物だったのか見当もつかない。
撮影されていたのはフィルム冒頭の20秒ほど、カメラ所有者の娘さんの高校入学式の日に校門前で記念撮影したものと思われる。とは言え、往来のある校門前と言うこともあり、撮影時間はごく短い。それよりも以後このカメラとフィルムは使われることなく、忘れ去られていく事に、ホームムービーの現実が示されている様に思う。所有者である父親は、最大の関心事であり、撮影対象である『子供』が、その成長と共に、子供自身が被写体となることを拒み始め、彼の撮影の動機も失われてしまうのだった。そうして『忘却のカメラ』が再生産されるのである。
娘の『入学式』は同時に、彼にとっては『卒業式』だったのかもしれない。
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7 окт 2024