以前、モンゴルナイフと一緒に高尾山に遊びに行ったときのこと。
その日は山頂で夕日を眺めるというスケジュールだったので、下山する頃には日も落ち、辺りは真っ暗になっていた。
まばらな灯りだけが照らす山道はいやに心細いが、モンゴルナイフが終始ゴキゲンな歌を歌っていたのでそれほど気にならない。
みんなで夜道を恐る恐る歩いていると、突然モンゴルナイフが「宝だ！」と叫んで駆け出した。気でも触れたのだろうか？
彼女が向かった先を見ると、遠くの方にキラキラと光る銀色の物体がかろうじて見える。他の登山客の落とし物か何かだろう。
「こんな夜道でよく見つけられるなあ」と関心しながら、僕らは彼女を追いかけると、暗闇の奥から「やった〜！」と叫ぶ声が聞こえてきた。どうやら宝の元にたどり着いたらしい。
それはゲロだった。
登山客が残した吐瀉物が灯りに照らされていただけだった。
真っ暗な山道。遠くからモンゴルナイフが嬉しそうに「ゲロでした〜！！！」と叫ぶ声がこだまする。
そんな言葉を山に聞かせるな。
（かまど）
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11 окт 2022
