広島県三原市本郷町では産業廃棄物の処分場周辺に暮らす住民が不安を募らせています。
最近になって特に目立ち始めたという異変を追跡します。
【五十川 記者】
「何か泡立って水が流れているのとは違うような水の泡の立ち方です。ちょっとですね上流のほうからはですね。硫黄のような臭い…卵の腐ったような臭いが流れてきていますね」
水路を流れ出る白っぽい泡。
これは三原市本郷町の産廃処分場のすぐそばを流れる水です。
周辺は時間帯によって独特の臭いが立ち込め、住民による簡易検査で法定の基準値を上回る「汚染」が検出されました。
【地元住民・岡田 和樹さん】
「ここまでになるのは初めてで、あれ、ちょっとあそこに泡みたいなのがちらちらと」
【三原市担当者】「溜まっていますね」
【地元住民・岡田 和樹さん】「濁りが出ていますね」
上流の処分場の池には、濁った水と共に黒っぽい物質が浮かんでいました。
9日、住民からの要請を受け市と県の職員が相次いで現地調査にやってきました。
【地元住民・岡田 和樹さん】
「これはもう公害。明らかに公害なので、法律で規制をきちっとできない公害なので新たに(対策を)やっていただくしかない」
住民は「水質が悪化した」と訴えていますが、現在までに県の調査で法令違反はありません。
【地元住民・岡田 和樹さん】
「(処分場の)中には入れないんですか。県でどうにか…今(臭いが)きついですね。これは明らかな異常というか」
【県担当者】「それは確認してみないと分からないので」
【地元住民・岡田 和樹さん】
「問い詰めるつもりはないんですが、あまりにもこういう状況になってしまって」
【県担当者】「お話はもうこれ以上できないので、申し訳ないですが」
三原市本郷町の山間にある民間の産業廃棄物最終処分場。
2022年9月、東京の事業者によって段階的に稼働が始まりました。
本郷最終処分場は安定5品目と呼ばれる「廃プラスチック類やゴムくず、金属くず」などを埋め立てる「安定型」に分類され、有害物と有機物が付着せず環境への影響が起きないことが前提となっています。
ところが、去年7月県に「設置許可」の取り消しを求め住民が訴えを起こした裁判で、広島地裁は「調査地点や判断に看過しがたい過誤、欠落がある」などとして県に設置許可の「取り消し」を命じる判決を言い渡しました。現在も、その控訴審は続いています。
毎月3000トン前後の産業廃棄物が処分されますが、有害物質が混ざらないよう、「展開検査」と呼ばれる中身の確認を終えた廃棄物だけが埋め立てられることになっています。
ただ、取材中、独特の異臭も漂ってきました。
【地元住民・岡田 和樹さん】
「抜き打ちでこういう状態を把握しないといけないのが、ずっとできていない。いくら通報しても、この中にきちっと立ち入ってこの現状を見ていないので、管理監督をする執行権がある。県がそれを怠っていると言わざるを得ないですね」
11日、最終処分場の設置を許可した県に、場内と池の映像を見てもらいました。
すると…
【県産業廃棄物対策課・波谷 一宏 課長】
「こちら(池)については現地へ直接行って状況を確認したいと思っています」
Q:映像を見てということですね
「まだこういった状況は、県の職員も(すべては)把握できていませんので、自然現象が要因でこういった状況がなっているということも考えられますので、それも含めて一体どういうものなのかというのはできる限り調べたいなと」
一方で専門家は、処分場の池自体には水質基準がなく、規制することができない法律の抜け穴も指摘します。
【県立広島大学 生物資源科学部・西村 和之 教授】
「(処分場からの浸透水は)地下水に行くのであれば地下水に行くであろうし、雨であらわれたものが、そのまま表面であったり、土の中を通って流れ出たとしても、下流側に相当するところに調整池があったとしたら、そこに入り込む、そこに対しては何も制限がない」
水道が通っていないため、川の水と湧き出る井戸水が人々の暮らしに直結します。
【日常生活に井戸水を利用・飯田 純子さん】
「だんだん、今年になってひどくなりますよね。この川が。だから、いつまでこの水で生活できるんじゃろうかという…川で洗い物をしたりしていたんですよ。野菜を洗ったりしていたんですけどね。もうそれもできないし、本当に情けないですよ」
周辺は、今年5軒の農家が作付けを諦めました。
すぐ横を流れる農業用水が濁り、臭いを発するためです。
地中深くの井戸水を田んぼに引いていますが、農業用水を使わなければ水量が足りず土が枯れたようになっています。
【地元住民・岡田 和樹さん】
「本来、安定型の処分場には汚染物、有害物質が入らないということになっているんですけど、すごい臭いと、この泡だったり、濁りがずっと異常な臭いが出るので、それは元々なかったものですので、日常的に出ているのはすごく大変なことだと思いますね」
最終処分場の事業者はTSSの取材に対し「担当者がいないためコメントできない」としています。
専門家は、そもそも処分場に持ち込む廃棄物を精査する大元の「展開検査」をきちんと実施していれば通常、環境への影響は起きないと指摘します。
【県立広島大学生物資源科学部 西村 和之 教授】
「行政も結局法律で動いていますので、許認可の話でいけば書類が届けば、当然許可せざるを得ないというのも事実でしょうし、逆に違反行為があると明確に認められれば、それは最終的には運営をやめなさいということまでの指導はできる立場ではある」
<スタジオ>
実際に起きているこの異変と、この産業廃棄物処分場との因果関係というのは明らかにはなっていないんですが、ただ住民の皆さんの生活に影響が出ているというのは、これはもう紛れもない事実のようです。この設置許可を巡る控訴審も続く中で、立地する三原市も「水源保全条例」というのを制定して、今年10月以降、市が設定した排水の目標値を守るよう、今までより主体的に調査をしていくということです。いずれにしても生活に大きな影響が出ていますから、一刻も早い原因究明が待たれます。
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10 июл 2024