世自在王仏のもとで出家された法蔵菩薩（阿弥陀仏）は「あらゆる衆生の生死勤苦の本を取り除けるような仏に成りたい」という願いを起こすのです。
生死勤苦とは生老病死の厳しい苦しみですが、その苦しみを引き起こしている元凶は自己中心的な欲求、即ち煩悩です。
諸仏方はこの煩悩を断じるための修行法は教えてくれますが、あくまでも煩悩を取り除くのは衆生自身です。
しかし、法蔵菩薩はそれではすべての衆生を救い取る事ができない。衆生の能力に依らず、ただ仏力のみで煩悩を取り除けるような仏と成りたいと願われ、世自在王仏にそうした仏になる修行法を請われたのです。
これに対して世自在王仏は「すでにあなたは知っているでしょう」と一旦、法蔵菩薩の言葉を退けるのです。
この世自在王仏が退ける事には、大きくは二つの意味があります。一つには法蔵菩薩がすでに悟りの領域から顕現した方便法身（還相の菩薩）である事を表しています。もう一つにはその世自在王仏に断られてもなお教えを願う姿勢をもって、どんな困難があろうと一切衆生を救い取れる仏と成りたいという法蔵菩薩の強い決意を表しているのです。
何があろうと私たち衆生を救い取るぞという阿弥陀仏の願心（大悲心）が今ここに南無阿弥陀仏となって届いているのです。（20240222）
※短い時間ですので略説しており言葉が不十分な点もある事をご了承ください。
2 окт 2024
