「真仏土文類」に「謹んで真仏土を案ずれば、仏はすなはち不可思議光如来なり。土はまたこれ無量光明土なり」とあります。仏も土も光明であるというのです。このことを言われているのかと思います。 このちょこっと法話では簡潔に正報（認識する主体）と依報（認識される境界）の関係についてお話しをさせて頂いています。 我々が命終えて生まれ往く世界は「極楽無為涅槃界」といって正報も依報もない一如法性の領域です。しかし、私たちにはそれを認識する事も、思い浮かべることも、言葉に表現する事もできません。この一如法性は単なる法理（ことわり）と言われるものではなく、その法理に順ずるようにはたらきかける力用（りきゆう＝はたらき）をもっています。その法理の力用によって顕現されたのが阿弥陀仏（正報）であり、阿弥陀仏の浄土（依報）なのです。 これを親鸞聖人は『唯信鈔文意』に「極楽無為涅槃界」を釈して、涅槃は真如一如と釈しており、「…法性すなはち法身なり。法身はいろもなし、かたちもましまさず。しかればこころもおよばず、ことばもたえたり。この一如よりかたちをあらはして、方便法身と申す御すがたをしめして、法蔵比丘となのりたまひて、不可思議の大誓願をおこしてあらはれたまふ御かたちをば、世親菩薩は「尽十方無碍光如来となづけたてまつりたまへり」と、一如法性より顕現して、大誓願を成就して阿弥陀仏と成られたと釈されています。 また、「証文類」に『往生論註』の「荘厳仏土功徳成就・荘厳仏功徳成就・荘厳菩薩功徳成就を説きつ。この三種の成就は願心の荘厳したまへるなりと知るべし」の御文をご引用されてその事を解説されています。 つまり、一如法性の力用（はたらき）とは、ご本願に示される一切平等にして、法理に順じせしめるはたらき。言い換えれば衆生救済のはたらきであり、これを成就された本願の顕現が阿弥陀さまであります。そして、その阿弥陀さまの願心によって描き出された世界を浄土と言うのです。 このように一如法性の力用（はたらき）は、衆生の無明の闇を破り（破闇）、一切衆生を分け隔てなく救い（摂取）、信心の念仏者へ育て上げる（調熟）事から光明と表現されるのです。即ち光明＝はたらきなのです。それ前面に出して依正二報を表したのが「真仏土文類」に示された不可思議光如来、無量光明土なのです。 阿弥陀仏も浄土も実体的に捉えるものではありません。ただ一如法性の領域を認識する事が出来ない衆生救済の為に、衆生の認識世界に合わせて説かれているのがお経典です。 ちょこっと法話ではそこまで十分な解説は出来ませんので、私たちの認識世界の上で依正二報のお話しをさせて頂きました。解説が不十分な点につきましてはご了承ください。