9月から東京証券取引所で「二酸化炭素」を取引する「カーボン・クレジット市場」が始まりました。それを受けいま、全国各地で「ある木」が植樹されています。キーワードは「成長速度」です。
■日本全国から注目される木とは?
群馬県安中市。
ここに今、全国から注目されている木があるんです。
その木を育てる小林さんに案内してもらいました。
環境技術研究所 小林彌さん
「これなんですけど」
齋藤慎太郎アナウンサー
「これが木なんですか?」
一見すると、ただの草のよう。
環境技術研究所 小林さん
「これがあっという間に大きくなります」
植えて5か月たつと…
齋藤アナ
「えー!これ?さっき見た20センチちょっとくらいのやつが...」
環境技術研究所 小林さん
「ゆうに3メートルこえています」
わずか5カ月で、3メートルに成長するんです。
齋藤アナ
「もう、しっかりとした木ですよ!」
この木は「日本桐」(にほんきり)の中で特に成長の早い「早生桐(そうせいきり)」というもの。
杉の場合は高さ15メートルに成長するのに約20年かかるといいますが…
環境技術研究所 小林さん
「(早生桐は)約5年で約15メートルになります。」
早生桐は3年で7メートルになり…
5年で15メートルまで成長するんです。
齋藤アナ
「うわ!すごい!こんなに太くなるんですか?」
年輪を数えてみると
齋藤アナ
「1、2、3、4、5年だ!」
確かに5年でした。
育つ速度は杉の4倍。
この「早生桐」が今、全国各地に植えられています。
■「早生桐」が注目される理由とは?
なぜ、成長の早い木が注目をあびているんでしょうか?
環境技術研究所 小林さん
「(早生桐は)CO2を大量に吸ってくれます」
二酸化炭素の吸収量が杉と比較して、3倍と言われているからなんです。
植林は「温室効果ガス」を減らす活動としていま、注目されています。
植林などによって得られた削減量の売買はこれまで相対(あいたい)取引が基本でした。
そこに変化が!9月、投資を促す狙いで東証でも取引ができるようになったのです。
そこで、二酸化炭素をより吸収する「早生桐」にも熱い視線が注がれています。
ちなみに、最新の市場価格から計算すると、早生桐を24本植えた場合、毎年1万5000円の収入の可能性があるんです。
■早生桐を耕作放棄地に植林する動き
これに注目しているのが、森林組合です。でも山に植えるのではありません。ある場所に植えようとしています。
碓氷川森林組合 上原又樹組合長
「これが耕作放棄地です。10年くらい(耕作)していない」
耕作放棄地での植林です。
現在は試験的な運用ですが、将来的には、土地を貸す農家にも、そして、管理する森林組合にも収入が入るそんなシステムを目指しているそうです。
碓氷川森林組合 上原組合長
「これが成長して5~6年後に(木が)製品になったときに、非常に価値があるなという風に思って始めました」
こちらの夫婦も地域の活性化につながればと耕作放棄地に植林しました。
鬼形博之さん(40)
「これから耕作放棄地というのは、このエリアに限らずいろいろなところで増えていくと思うのです。これを新しい産業にできたらいいなと思っています」
安中市では、来年度以降、市場への参入も視野に植林を進めて行くといいます。
■早生桐が広まったきっかけとは?
そもそも、この木を広めたのが福島県に住む橋本さん親子。きっかけとなった「早生桐」を見せてもらいました。
クール・アース 橋本健二さん
「(この早生桐は)ちょうど9年目です」
親子が早生桐を植えたのは9年前。原発の影響で耕作放棄地が増えたのがきっかけでした。
早生桐を植えれば、木材を売って農家達の収入につながるのではとの思いでした。
橋本金彌さん
「息子からこういう木があるのだけど、植えてみないかということで植えたのです」
橋本さんが畑に植えた木はこれまで3000本以上!
それが今、全国から注目を浴びています。
10月19日、切り倒されたていたのは、父、金彌さんが一番最初に植えた木。
橋本金彌さん
「本当にこの育ち方には、びっくりしてしまった」
現在、どれほどの二酸化炭素を取り込んでいるのか大学で調査が行われています。
さらに最新の乾燥技術を使って、木材自体の利用価値を高める動きもあります。
今後の可能性に注目です。
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3 ноя 2022