2021年2月28日(日)アルボムッレ・スマナサーラ長老のパーリ経典解説@ゴータミー精舎のライブ配信録画です。難解なことでも知られる中部経典第一『根本法門経(Mūlapariyāyasuttaṃ)』をとことん噛み砕いて解説した画期的な法話です。(字幕作成:関口玲さん)
00:00 礼拝と慈悲の瞑想
05:05 パーリ経典解説
Majjhimanikāyo 1. Mūlapariyāyasuttaṃ「根本法門経」(『中部』1)
Basis of all phenomena including Buddhist way of thought
以下、一部のスライドテキストを抄録(No.04~24)します。
●Structure of the Mūlapariyāyasuttaṃ(骨組み)
ア.生命のカテゴリー
認識を行う生命は
①.一般生命(真理を発見する教育を受けてない)。衆生、凡夫とも言います。
②真理の一部を学んでいる、更に修行を要する仏弟子。有学と言います。〔No.04〕
③真理を完全に学んで修行を終了した人。阿羅漢です。
無学といいます。
④正等覚者である、如来・仏陀。
仏陀をはじめ一切の生命はものごと(現象)を認識します。
認識の仕方に違いがあります。〔No.05〕
イ.認識する対象。
省略するならば、眼・耳・鼻・舌・身・意に色・声・香・味・触・法が触れると認識作業が起きます。結果として、saññā-想(概念)が現れます。
しかし、経典は具体的に当時インドの宗教家、思想家、修行者、行者などの全ての研究課題が認識対象として扱われています。〔No.06〕
ウ.認識の仕方。
四種類の生命の認識の仕方に差があるのです。
③阿羅漢(無学)④仏陀の認識仕方に差があるはずはないと思えます。
しかし、道の発見者、衆生の偉大なる師匠としての能力範囲は阿羅漢にも把握できないのです。〔No.07〕
【経典を勉強しましょう】
Objects of perception
経典が示す認識対象〔No.08〕
●認識対象
仏陀の時代に、宗教家、行者、思想家などが以下のようなテーマに興味を持っていたのです。
i.物質の構成(地水火風paṭhavi, āpo, tejo, vāyo)
ii. 多種類の生命又は生命の次元(人間も含む生命、神々、神々の王などです。
修行者達はこれを超えた生命次元も経験しているのです。〔No.09〕
例えば、梵天の次元
経典で1.Brahmaṃ 2.Ābhassaro 3.Subhakiṇho 4. Vehapphalo 5.Abhibhūという梵天界の名前を挙げています。
稀な修行者が体験している無色界梵天の次元四つも上げています。〔No.10〕
●認識対象:思想家のデータ
哲学者、思想家達の認識対象(データ)は、
1.diṭṭhaṃ 見たもの、眼で観察するもの、2.sutaṃ 耳から入る情報、3.mutaṃ 感触、味、香りなどのデータ、4.viññātaṃ 考えて達した結論など。〔No.11〕
●哲学・思想
1.Unity, oneness 森羅万象は最終的に一つである。
2.Diversity 現象単一ではなく複数・多数です。
3.Entirety 一切。複数、多数(多様)な現象をまとめて一切として見ること。
4.nibbānaṃ 涅槃。これも思考の対象になっていたのです。〔No.12〕
●Objects of conception (summary for present day understanding)
認識対象はありとあらゆる全ての現象、概念イマジネーションだとします。
科学、数学、その他の知識、日常の経験など含む全てです。
要するに、怪獣、ゴジラ、異星人、SF世界なんでも良い。
仏陀も当時の思考・概念の全てが入るようにしました。
【経典の心臓 認識の仕方】
「知る」は結局「無知」、または「主観」に限られる仕組み〔No.14〕
●常識編――(認識対象は『地』 paṭhaviṃ)
凡夫は、paṭhaviṃ paṭhavito sañjānāti; paṭhaviṃ paṭhavito saññatvā paṭhaviṃ maññati, paṭhaviyā maññati, paṭhavito maññati, paṭhaviṃ meti maññati, paṭhaviṃ abhinandati. (学者の日本訳の紹介を止めます。)〔No.15〕
●理解できる〔日本語〕訳
① paṭhaviṃ paṭhavito sañjānāti 地は地だと認識する。
②それから、 paṭhaviṃ maññati 地であると思う。
③ paṭhaviyā maññati 地を主題にして思考する。
④ paṭhavito maññati 地から発生する思考をする。
⑤ paṭhaviṃ meti maññati 地は自分のものだと思う。
⑥ paṭhaviṃ abhinandati 地を喜ぶ(執着・愛着)。〔No.16〕
●解説
上記の六項目にたくさんのヒントがあります。
理解しやすくするために modern version に入れ替えます。
この場合は地水火風云々は要りません。
対象は何でもよいのです(異星人でも)。
認識の基礎フォーマットを作ります。〔No.17〕
●基本認識フォーマット
①This is a tree.(人は木を木として認識する)
②I know that this is a tree.(無意味なリピートではありません)
Key wordはmaññatiです。I think, I know, I’m sure, It is known, This is a factなどなどのニュアンスがあります。落とし穴は、眼に入った木のイメージに「私」という気持ちが入ったことです。〔No.18〕
Maññatiは個人の考え、感想、気持ちなどです。
認識に「私、私の、私に」などの気持ちが入ります。
一般人には決してこの落とし穴を避けることはできません。
This is a treeは「自分の知識」に変わったのです。〔No.19〕
③ paṭhaviyā maññati 地を主題にして思考する
木(tree)を主題にしていくらでも考えられる、思考・妄想ができる。
これに、『私』という気持ちが必要です。
④ paṭhavito maññati 木を認識した人に木に関する他の思考も流れてくるのです。〔No.20〕
⑤ paṭhaviṃ meti maññati 地は自分のものだと思う。
Treeから沢山の概念、思考が起きたので、それは、My knowledge, my understanding, my view, my vision になります。
Treeに関わる知識は『私の知』です。〔No.21〕
⑥ paṭhaviṃ abhinandati地を喜ぶ(執着・愛着):
Treeに関する「知」は「私の知」になったので、自分の知識概念に対して執着・愛着が起きます。
例えば、だれか“this is not a tree, it is a rock”と言ったならば喧嘩になります。
皆、このsix stepに嵌まっているのです。〔No.22〕
【Taṃ kissa hetu? それはなぜか?】
Apariññātaṃ tassā’ti vadāmi 遍知されていないないからと言います。〔No.23〕
●知り尽くすという問題
遍く知ることは、一般人に不可能です。
知とは私が知ることです。主観で、偏見になります。
仏陀が遍く知る方法(気づきの実践)を説くので、
責任を持って、‘Apariññātaṃ tassā’ti vadāmi.と一人称で語っています。〔No.24〕
※ 33:00 参考動画:සිතන්න යමක් ..වඩන්න මගක් ...15|Sachi Samidu
• සිතන්න යමක් ..වඩන්න මග...
2:46:58 「廻向の文」と祝福の偈と祝福の偈
■廻向の文(終了時にお唱えください。)
「あらゆる生命に憐れみをもって真理を説かれた
本師釈迦牟尼佛陀の聖なる教えに従い、
我々がここまで積んだすべての功徳を、
神々、先祖、祖父母、両親、親族、恩師をはじめとし、
一切の生きとし生けるものに、廻向いたします。
この功徳によって、生きとし生けるものすべてが幸福に暮らせますように。
そして、解脱を得られますように。」
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アルボムッレ・スマナサーラ(監修)/小川晃代・湯沢佑介(写真)
『つらい心がほっこり癒やされる ゆるねこ×ブッダの言葉』インプレス
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~生きとし生けるものの悩み苦しみが無くなりますように~
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16 июл 2024