<本の紹介>
精神科医の本音 (SB新書)
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精神科医がやっている聞き方・話し方
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ひとりが楽だけれど、ダメですか? 孤独の解消について
00:00 OP
01:58 ここ数年の変化
05:44 なぜ孤独が増えたのか
08:11 時代の変化
09:28 やりたいことがない
10:55 どう解決するか
本日は「孤独の問題」について語ります。
最近、臨床現場では孤独を訴える患者さんが多くいらっしゃいます。
もしくは孤独が悩みの本質ではあるんだけれども、そこを否認している、語らない患者さんもよくいらっしゃるんです。
今回はそういうことをお話しします。
一人がいいよ、という人も多いんです。
一人が楽だな、一人の方が私は好きなんですよ、と言う患者さんは多いんだけれども、一人でいることは健康にはよくないです。
一人でいると一時的には傷付かないし、その瞬間瞬間、刹那的な瞬間においては楽になれるんだけれども、中長期的に見たときには、決してその人を幸福にしません。
それはあらゆる心理学的な実験からわかっているんです。
そもそも人間というのは「群れ」の生き物なので、群れで過ごしたいんです。
近くに誰かがいる、自分の悩みを聞いてくれる人がいる、助け合える仲間がいる、ということが動物の本能としてやはり重要なようです。
刹那的には確かに一人でいる方が楽なのですが、中長期的に見たら、一人ではいられないということです。
今回は、今は孤独だけれども、どうやったらその孤独を解消できるのか、ということをテーマにお話したいなと思います。
■ここ数年の変化
・パワハラ→孤独
臨床場面でコロナ前後でどういう人が増えたかというと、コロナ前は長時間労働+パワハラの訴えが多かったんです。
あんな人にこういうことされたのでもう会社に行けません、不適応になりました、という人が多かったのですが、コロナ後にガラッと変わったんです。
誰も構ってくれない、誰も教えてくれない、もうやめてくれじゃないけれども、一人で抱え込んで仕事を助けてくれなくて孤独だ、在宅勤務になって孤独だと言う人が増えました。
もうパワハラさえしないという感じです。
面倒臭いからトラブルを回避したいという人が増えている感じです。
・発達障害の診断が増えた
臨床的にも発達障害の人が増えました。
発達障害を疑う、発達障害で悩んでいる患者さんが増えました。
20年ぐらい前は「境界性パーソナリティ障害」という人が多かったんですが、今日では境界性というよりは発達障害の問題として捉えられることが増えたんだろうなと思います。
本当にそう思います。
コロナのちょっと前くらいの時、このクリニックを開始した直後、僕がコンサータの処方をホームページで解説してバズった時は境界性パーソナリティ障害と診断するのではなくて、発達障害(ADHD)として診ましょうよ、ということを僕が結構言っていたんです。
それが結構珍しかったんです。
でも最近は、患者さんとやりとりしたときに、境界性パーソナリティ障害の診断で送ったときに、逆にこの人は発達障害だと受けることが多くて、ドキッとするというか、変わったんだなと思います。
本当に境界性パーソナリティ障害と診断する人が減って、発達障害と診断する人が増えました。
じゃあ益田の診断が変なのか、相手の診断が変なのか、というよりは、問題の本質をとらえるやり方が変わった気がします。
境界性パーソナリティ障害的でありADHD的であるということ、両方の合併症、両方の側面を持つ人たちがいるということなんです、本質的な話をすると。
両方いるんだけれども診断基準に当てはめると、境界性パーソナリティ障害というにはちょっとスコアポイントが足りない、ADHDというにはスコアポイントが足りないとか足りるとかそういう話です。
診断閾値以下みたいな話はあるんだけれども、言っていることはそんな変わらないんですけど、見方というか、焦点の当て方が変わったなという感じがします。
・ひきこもり
あと、ひきこもりの問題です。
ひきこもりというのも自閉的というか、ASDの文脈で捉えることが増えました。
親子問題とか、社会的になれないとか、成長が遅いとかというよりは、ASDの問題という風に考えられていることが増えたかなという気がします。
中年の独身の問題もあります。
これも奥手とか社交不安障害というよりは、ASD的、コミュニケーションが苦手という形で言われることが増えたなと思います。
■なぜ孤独が増えたのか
ではどうして孤独が増えたのかというと、日本は長時間労働で有名です。
日本の幸福度ランキングが低い理由の一つが長時間労働にあると言われています。
働く時間が長すぎるので少子高齢化を生んでしまった、子どもを作る時間がなかった、子どもを多く産む余裕がなかった、ということが起きると思います。
そしてその結果、地域社会が崩壊したんです。
第3のコミュニティみたいなものがなくなって、家庭と職場の往復だけになっちゃったんです。仕事中心で。
それで結局、出会いの場が減ったんです。
職場恋愛以外なくなって、職場恋愛に関しても今はセクハラとか言われる時代ですから、なかなか恋愛する機会がない、と。
そして、長時間労働は良くないんだということで、働き方改革、AIやITを使うことによって業務効率化しようと今してるんですけども、それにはもう既に遅くて「時間はあるけれど、じゃあどうしたらいいの?」という形で、今度は働き方改革の恩恵を受けることができなかった中年の人たちが孤独の問題を感じている。
今までだったら会社の人とご飯に行く、飲みに行く、会社の人と旅行に行くみたいなことがあったのが、それがもうなくなっちゃったんです。
なくなった結果、孤独になるというのはあるのかなと思います。
じゃあ、時間がない人たち、若い人たちはどうかというと、若い人たちは相変わらず自分の勉強をしなきゃいけないし、転職活動などもしなければいけなくなったので意外と子育てをする時間がなく、会社での時間は減ったんだけど、副業という形で長時間のループから抜け出せない、と。
孤独に行く人もいれば、孤独に行かない人もいて、そういう人たちが子どもを作ればいいんだという発想になるかもしれないけど、実際はそうならなくて、やはり孤独のループと長時間労働の問題が起きていて、そして分断されているということが今起きているのかなと思います。
■時代の変化
あとは皆さんご存知だと思いますが、好みが多様化していて、皆が同じものを見なくなっちゃったんです。
昔みたいに皆が同じテレビを観て、皆で同じ音楽を聴いて、皆でカラオケに行って盛り上がるみたいな90年代の雰囲気は全然ないです。
もう全然ないので盛り上がらないです。
トラブルをすごく回避するようになってきた。
潔癖化というか、嫌なことを少しでも減らしたいという人が増えたなと思います。
あと、家族の密室化です。
家族で時間を過ごそうということが増えてきて、外部との交流を減らすという感じが増えてます。
コロナの影響でもあるだろうし、少子高齢化の影響なのかなという気もします。
「私は別に飲みに行ってもいいし、最悪コロナに罹ってもいいと思うけど、家には親がいるから、親に迷惑かけられない」「家には高齢のおじいちゃん、おばあちゃんがいるから」ということで、外出を控えている人もたくさんいるなと思います。
少子高齢化の影響というのは、こういうところにも現れているなと思います。
■やりたいことがない
あとは、やりたいことがない、私は人付き合いが苦手だから、という発言も増えました。
すごく多いなと思います。
やりたいことがないと言うけど、じゃあ昔はどうだったのかというと、やりたいことをやってなかった気がするし、観たいテレビも観てなかったと思うんです、テレビが一個しかなかったし。
テレビが何台もあったとしてもチャンネルの数なんて限られていたので。
そもそも昔よりも今の人の方がやりたいことをやっているはずなのに、それでも、まだやりたいことがない。選択肢が増えたことによって却って自分の個性というものを失ってしまう、個性というものに迷っている人が多いのかなという気はします。
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一般の方向けに、わかりやすく、精神科診療に関するアレコレを幅広く解説しています。動画における、精神分析や哲学用語の使用法はあくまで益田独自のものであり、一般的(専門的)な定義とは異っているところもあります。僕がもっとも説明しやすいとたまたま感じる言葉を選んだだけなので、あまり学術的にとらないでいただけると嬉しいです。
早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介
【自己紹介】
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。
【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第3 www.medsi.co.jp/products/deta...
倫理規定について note.com/mentalyoutubers/n/nb...
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11 июл 2024